合繊メーカー系商社/南アジア・ASEANの事業強化/自家工場の立ち上げも
2024年04月23日 (火曜日)
合繊メーカー系商社が南アジアやASEAN地域での事業強化を加速している。中国一極集中のリスク回避に加え、持続的成長をけん引する新たな原動力をつくる。既存拠点の拡充や協力工場の選定のほか、資本を投下して自社拠点を立ち上げる動きも出てきた。2024年度(25年3月期)から25年度にかけて戦略を本格化させる。(桃井直人)
新たな拠点として目が向けられているのがインドで、旭化成アドバンスはエアバッグ包材製造で進出する。これまでタイなどで生産し、インド市場に供給してきたが、インド国内に拠点を持つエアバッグメーカーが現地調達の動きを強めていることから、対応が必要と判断した。
南部のカルナータカ州ベンガルールに100%出資で縫製工場を設立する。同社がインドに自家製造拠点を持つのは今回が初めてで、25年4月の稼働開始を予定している。将来的には「エアバッグ包材以外の扱いも検討する」としており、インドビジネス拡大の拠点としての成長に期待をかける。
東レインターナショナルは、衣料品縫製工場の新たな取り組み先をインドやバングラデシュに求める。このうちインドは市場として注目しているとし、同国向けアイテムの生産を視野に入れている。現状では南部でのオペレーションが中心になるとみるが、良い縫製工場があれば地域にはこだわらないと話す。
同社はASEAN地域でのオペレーションも強化する。自社工場のトーレ・インターナショナル・ベトナムクアンガイ工場はフル稼働の状況にあるが、「収益貢献には至っていない」とし、第2期(拡張)を25年度までに意思決定する。また、同拠点を核にクラスター構想の推進によるビジネス拡大も図る。
ASEAN地域では、帝人フロンティアがタイの合繊織布・染色加工子会社であるタイ・ナムシリ・インターテックスを強化する。ポリエステル長繊維を中心とする化合繊織・編み物を製造・販売する南通帝人の技術スタッフとの交流を深めて、「第二の南通帝人」に育成する。
インドネシアでもニットを軸に協力工場の拡充を図る。インドネシア国内だけでなく、ベトナムやミャンマーをはじめとするASEAN地域の縫製拠点に生地を供給する。ベトナムでは現地アパレル企業への販売を増やす方針だ。
合繊メーカー系商社の23年度は、各社とも比較的順調な推移を見せている。24年度については、中国経済や地政学リスクといった懸念材料も少なくないが、特に利益面での成長を志向していく。