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大和紡績 新中計で三つの骨子

2024年04月19日 (金曜日)

 大和紡績は、今期(2025年3月期)から始まる3カ年の新中期経営計画で三つの骨子として「持続的な企業価値の向上」「次世代の柱となる商品の創出」「世界のマーケットにチャレンジするグローバル企業への転換」を掲げる。

有地邦彦社長は、原燃料高や円安など先行き不透明な環境が続く中、「しっかりとグローバルに勝負できる商品を創り込んでいかなければ生き残れない」と話し、設備投資や研究開発に積極的に投資しながら成長を加速させる。

 同社は先月、ダイワボウホールディングスグループから独立。事業投資会社アスパラントグループ(東京都港区)の支援を受けながら、この3カ年で投資を増やす。「投資の規律を緩めるわけではないが、しっかり精査し、短期的にキャッシュフローの枠を超えようが、必要なところには投資をしていく」(有地社長)方針だ。

 今期から来期にかけ設備投資や研究開発への資金投入を具体化。そのためにKPI(重要業績評価指標)を定め、各部門での数値管理も強める。将来的にはIPO(新規株式上場)も見据えることから「しっかり足場を固める」として、ガバナンスも強化する。

 次世代の柱となる商品の創出では、環境配慮型のファイバーの研究やリサイクルの仕組みの構築を進める。海水中での生分解性を確認し、第三者認証も取得した「エコロナ」、リサイクル原料を使った「リコビス」といった環境配慮型のレーヨンでは販売を伸ばしており、「新しい芽は出てきている」。

 海外戦略ではインドネシアと日本を軸に、日本からの輸出だけでなく海外企業との事業や販売による連携も含めた販路開拓も視野に入れる。合繊・レーヨン事業で輸出拡大に取り組む国際販売開発室を国際販売室と改称し、人材を増やし「予算を持って対応する体制」に移行。海外のリサーチも含め「将来を見据えて種まきをする」。

 具体的な数値目標については「まだ公表はできない」としながらも、アスパラントグループと精査しながら「かなり確度の高い」数値を設定。売上高、利益の「バランスを取った」形となる。