東洋紡せんい、御幸毛織 “環境”軸に新規開拓
2024年04月16日 (火曜日)
東洋紡せんいと御幸毛織は“環境配慮素材”を軸に糸・生地による新規市場開拓に力を入れる。円安を追い風にするため特に海外市場へのアプローチを強化する。その一環として17~19日に東京ビッグサイトで開催される「サステナブルファッションEXPO春」に共同出展する。
東洋紡せんいはマテリアル事業部の原糸販売グループが出展。新方式の開繊技術による反毛を原料としたリサイクル綿糸「さいくるこっと」を軸に提案する。従来の開繊方式とは異なり、繊維長を維持した反毛が可能になり、細番手糸の紡績が可能だ。市場での評価も高く、25春夏に向けて商談が進みつつある。東洋紡の特殊紡績技術によって吸汗速乾・清涼機能の付与や空気層を多く含む糸構造にできることも打ち出す。
展示会では糸だけでなく取り組み先産地企業などと連携して開発したさいくるこっと使いの生地・製品サンプルを多数展示する。肌着や靴下、ドレスシャツのほか、海外バイヤーの来場も見込めることから海外で注目が高い裏毛アウターなども用意した。また、反毛わたなど再生原料も紹介し、従来の反毛使い綿糸とは異なる物性や品質を実現していることを打ち出す。
御幸毛織は独自の長短複合紡績糸「マナード」の紡績技術を中心に提案する。鞘にウール、芯にポリエステル長繊維を配した通常のマナードのほか、芯にマテリアルリサイクルポリエステル繊維や伊藤忠商事が供給するケミカルリサイクルポリエステル繊維「レニュー」、三菱ケミカルグループのトリアセテート繊維「ソアロン」を採用した環境配慮タイプ「マナードEE」を披露する。いずれも糸のほか生地でも提案する。
マナードはウール・合繊複合紡績糸だが、使用する合繊が長繊維のため洗濯時に発生する繊維くずが少なく、ウールには生分解性がある。このためマイクロプラスチックによる海洋汚染のリスクを低減する素材としても打ち出す。