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紳士服ブランド/夏のセットアップで機能やデザイン競う

2024年04月05日 (金曜日)

 気象庁の長期予報によると、今年の夏(6~8月)も全国的に気温が高くなり猛暑日が増える。紳士服の各ブランドは盛夏向けセットアップを拡充するほか、最適なタイミングに投下し需要の取りこぼしを防ぐ。機能やデザインで独自性を打ち出す商品開発競争が、熱を帯びている。(相模 活)

 オッジ・インターナショナルが展開する「アクアスキュータム」(AQ)は、着心地や機能性に優れたセットアップの提案を強める。昨年は猛暑で夏向け商材の売れ行きが良く、在庫不足による売り逃しがあったと言う。このため、今年は期中の6月下旬に追加投入する計画を組む。

 AQが今夏向けに提案するセットアップの一つが、綿とポリエステルを使用した編み地のセットアップだ。和歌山の36ゲージニットを採用。ジャカードでストライプを表現している。担当者は「一般的に夏向けセットアップは合繊素材を使った商品が多い」と指摘。その上で「綿を入れることで高級感を出したり着心地を高めることができ、他ブランドとの差異化につながる」と狙いを話す。

 綿とポリエステルを使った織物製のセットアップも提案する。凹凸感のあるシアサッカー素材で、通気性や防シワ性に優れ縦横に伸びる。ウエストがドローコード仕様のパンツはベルトループも付いており、利用シーンに応じて使い分けが可能。

 紳士服「ポール・スチュアート」などを手掛ける三陽商会は、新たに盛夏シーズンのMDを構築する。セール期間だった例年と違い、正販売を主軸に6~8月度に鮮度の高い実需アイテムを投入。店頭では先物買いが減り、気温や気候に合わせたジャストシーズンで購入する人が増えていることに対応する。

 ポール・スチュアートは今夏、機能性と上品なデザインが売りの「フロータブルレインセットアップ」を投入する。素材はポリエステル100%のシアサッカー素材を採用した。繊維の内部が空洞になっている中空糸を使用し、軽い着心地を実現。表地に撥水(はっすい)加工を施し、縫い目には撥水糸を使った。雨の日にも適している。

 ジャケットは胸ポケットや袖のボタンをなくし、すっきりとさせた。家庭で洗濯ができる点も訴求ポイントに。「新型コロナウイルス禍を経て、従来客の中でもジャケットなどを家庭洗濯したいというニーズが出てきたことや、これまで取り込めていなかった新たな客層へのアプローチを狙った」(担当者)と言う。

 ダイドーフォワードが展開する紳士服「ニューヨーカー」は、強撚糸を用いた清涼感のある編み地のセットアップを投入する。接触冷感性にも優れた素材を使用し、暑い夏でも快適に着られるようにした。ジャケットは、背幅にゆとりを持たせて着心地を高めた。パンツはウエストにアジャスターゴムを付けているため動きやすい。ウオッシャブル仕様で手入れも楽にした。

 各ブランドとも着心地や快適性に一段と磨きをかけ、猛暑に爽やかなスタイルを提供する。