特集 第40回 AFF・大阪2024 アジアと日本の繊維貿易促進へ

2024年04月02日 (火曜日)

 縫製品OEM・ODMを中心に多様な生地や副資材が集う展示会「第40回AFF・大阪2024Spring」が9~11日、マイドームおおさか(大阪市中央区)で開かれる。中国や東南アジアから371社・422ブースが出展する。主な中国の出展企業を紹介する。

〈栄成市正清和服装/日本・欧米特化のセーター工場〉

 山東半島最東端、栄城市のセーター・ニットウエアメーカー。工場の敷地面積は9700平方メートル超で、独STOLL社と国産コンピュータージャカード横編み機100台強、ミシン、検針器、洗濯乾燥機など200台以上を導入している。

 欧米と日本向けの輸出に特化しており、仕向け地別売り上げ比率は日本50%、フランス30%、英国20%。顧客は大手SPAやファストファッション、大手商社など。メンズからレディース、キッズに対応し、3~7ゲージを手掛けている。

 新型コロナウイルス禍にもかかわらず、日本向けをここ数年伸ばしてきた。大部分が直貿だ。今年は2、3社の新規顧客を開拓するもくろみだ。

 今回展の目玉は、今シーズンのトレンドを反映した最新のレディースセーター。環境に配慮して生産された手触りの良い糸使いや、価格競争力を訴求する。

〈南通大澤貿易/日本向けを小ロット対応で〉

 2013年に設立された日本向けに特化するアパレルメーカー。自社で輸出業務も手掛ける。価格競争力の高さ、迅速なサンプル提供、小ロット対応などが強み。織物製と編み物製の双方を生産しており、製品別構成比は織物製7、編み物製3。カジュアルウエアとスポーツウエアが主力アイテムで、顧客はブランドから商社までさまざまだ。直貿と商社経由の双方を展開している。

 市場開拓のため、展示会出展に加えて最近はSNSを活用したプロモーションなどを試みている。日本ブランドの中国からASEAN地域への縫製シフトに対応するため、海外工場の設立を検討している。

 今回展では、メンズシャツを中心としたメンズ・レディースのトップスを訴求する。綿100%など天然素材中心に出展し、保温、防水など機能性を持つ生地使いをアピールする。

〈南通雷成運動休閑服飾/機能性の編み物製ユニフォーム〉

 1996年に設立された縫製工場。日本向けに特化している。メインアイテムは、編み物製ユニフォームで、自社工場の年間生産能力は400万着。機能性を持った製品の開発力が強みで、ユニフォーム会社の顧客から評価されている。

 2023年売上高は1500万ドル。全て直貿だった。今年は機能性を持った商品を武器に、新規顧客の開拓を加速する。顧客の価格要求が厳しくなっていることから、コストパフォーマンスが高い製品を打ち出していく。

 今回展では、最新の機能糸を使い、吸水、速乾、接触冷感、遮熱、UVカットなどの機能を備えたワークウエアを出展する。ユニフォーム関連の新規顧客の開拓を目指す。

〈青島帝欧国際貿易/編み物衣類と雑貨〉

 2007年に設立された日本向けアパレル・雑貨商社。日本向けの生産と貿易の専門性の高さが強み。出資工場と多彩な協力工場を活用し、さまざまな顧客ニーズに応えている。特に編み物製衣類と雑貨が得意。

 近年の業績は芳しくない。急激な円安や国内でのコスト上昇、顧客の価格要求が年々厳しくなること、中国からASEAN地域への縫製シフトなどが逆風となっている。そのため、日本国内の展示会に参加し、ブランドの新規顧客の開拓をする。またASEAN生産との競合を避けるため、短納期・小ロットの能力を磨いていく。一方で、ASEAN地域での協力工場の開拓も視野に入れている。

 数年ぶりに出展する今回展では、編み物と織物を組み合わせた製品や、暗闇で光るリフレクター加工、吸汗速乾、抗菌防臭などの機能性生地使い、オーガニックコットンや、環境配慮型素材などサステイナブルな生地使いなどを打ち出す。

〈江蘇匯鴻国際集団中錦控股/スポーツウエアの縫製メーカー〉

 江蘇省最大規模の国有貿易企業、江蘇匯鴻国際集団傘下のスポーツウエアメーカー。スポーツウエアのほか、カジュアル、ホームウエアなどを、国内とカンボジアの自社工場などで生産する。輸出に特化し、米国、ブラジル、英国、フランス、サウジアラビア向けが多い。

 このほど、日本市場の開拓に着手した。日本でも得意のスポーツウエアとホームウエアを打ち出していく。日本市場への理解が足りないことが課題だ。そのため、日本国内の展示会への出展などを通じ、顧客ニーズを把握していく考えだ。

 初出展の今回は、レディース向けのヨガニットウエア、ホームカジュアルウエアを出展する。生地に空気層を保持し、保温効果を高める「エアーレアーファブリック」などの特殊機能性生地使いの製品もアピールする。

〈威海港都貿易/簡単に履ける「ハンズフリーシューズ」〉

 2018年に設立された日本向けシューズの貿易会社。OEMのほか、立ったまま手を使わずに履ける機能性シューズブランド「ハンズフリーシューズ」展開している。

 日本の靴メーカー・問屋とアパレル商社向けのOEMをここ数年、順調に伸ばしている。23年売上高は160万ドルだった。今年から、ハンズフリーシューズやその機能性パーツの販売を加速し、さらなる成長を図っていく。同ブランドの日本でのリアル店舗出店の構想も持つ。

 今回展では、ハンズフリーシューズを前面に打ち出す。弾性・復元力を有する材料を採用し、シューズのかかとが踏まれて変形してもすぐに復元する「バネタイプ」と、靴のかかとが簡単に変形するため素早く履くことができ、また脱げにくくフィット感が高い「オープンクローズタイプ」の2タイプを紹介する。いずれも日本と中国で特許を登録済みだ。

〈大連宏楓時装/レディースが主力〉

 2003年に設立された縫製会社。日本向けに特化している。カジュアル、ファッションのレディースファッションが主力で、小ロット・短納期への対応力が強みだ。

 遼寧省阜新市の自社工場および遼寧省と山東省の協力工場で生産している。織物製を生産する自社工場の月産能力は約20万着。編み物製は山東省の協力工場で生産する。ミャンマーにも出資工場を持つ。

 日本の顧客と直貿で取引している。そのため、日本国内で顧客に手厚いサービスを提供するため、日本への拠点設立を検討している。新型コロナウイルス禍で中断していた同展への出展を今回再開する。機能性生地を採用した製品を打ち出し、新規顧客の開拓を目指す。

〈高密市偉華美制衣/立体成形のレディースインナー〉

 2014年に設立されたレディースインナーのメーカー。主に立体成形製品を生産している。月産能力は、約40万着。編み工程から染色、縫製までを一気通貫で手掛けており、QRが強みだ。輸出に特化しており、主な仕向け地は日本。売り上げの8割以上占める。

 日本向けは、直販と商社経由で展開している。近年の販売状況は芳しくない。ロットが小さく、低価格の注文が多いことが悩みだ。そのため、展示会出展などを通じ、自社の知名度を高め、新規顧客の開拓と既存顧客の深耕を図っていく。日本市場のニーズに合致した新商品の開発にも取り組んでいく。

 今回展では、立体成形のハーフカップブラジャーやボクサーパンツ、吸水速乾、抗菌防臭、発熱などの機能性素材使い製品を出展する。

〈湖州新嘉紡織品/多彩な紡毛糸訴求〉

 1995年に設立されたウール・カシミヤ糸メーカー。中国とミャンマーの自社工場で、3~14ゲージを糸を生産している。プリントや刺しゅうなどの加工も一部手掛けている。輸出に特化しており、日本と欧米がメイン市場。仕向け地別売り上げ比率は日本7割、欧米3割。

 日本向けの業績は新型コロナウイルス禍以降、芳しくない。受注の減少や顧客の生産のASEANシフト、利益率の低下に直面している。そのため、日本での展示会に積極的に出展し、新規顧客を開拓することに重点を置いている。

 ミャンマー工場は現状、欧米向けの大ロット生産に絞っているが、今後は日本向けも手掛けていくことを検討している。

 AFF展には、2015年から連続出展している。今回は、ウールとカシミヤ使いのバラエティー豊かな紡毛糸を、サンプルのセーターとともに訴求する。

〈青島浩然制衣/パンツが主力の工場〉

 2007年に設立された縫製工場。メインアイテムはパンツで、レディースとメンズ双方のカジュアルウエア、ホームウエア、ユニフォームのさまざまな商品を取り扱っている。山東省青島にある自社工場の月産能力は、約10万着。織物製と編み物製の双方に対応する。輸出に特化し、日本向けが売り上げ全体の80%、韓国向けが20%を占める。

 日本向けは全て直貿だ。近年は市況の低迷や、日本の顧客のASEAN地域への生産シフトを受け、受注は振るわない。特に最近はロットが小さくなり、価格も下がる傾向が続いている。そのため、展示会出展を通じ、新規顧客の開拓を進め、挽回を図っていく。

 今回展では、パンツとトップスを出展する。春夏物は、接触冷感素材使いを打ち出す。秋冬物は保温効果があり、ソフトタッチの素材使いをアピールする。

〈紹興藍色澎湃時装/ユニフォーム顧客の開拓へ〉

 2001年に創業した製販一体のシャツメーカー。織布は浙江省紹興市に置く自社工場と協力工場で、縫製は紹興や広西チワン族自治区の協力工場で行っている。

 設立当初は、欧米向けの仕事で成長を図った。10年からは、安定的な受注が期待できる日本向けにシフト。直貿と商社経由の2本立てで、日本のメンズ専門店向けのシャツの仕事を伸ばした。新型コロナウイルス禍前後からメンズシャツの需要が減ったことに対応し、ユニフォーム向けのシャツに新規参入した。近年の年間売上規模は300万~400万ドルで推移している。

 12回目となる今回展では、ユニフォーム向けを中心に、ポリエステル・綿使いの織物製シャツを訴求する。ユニフォーム関連の顧客開拓を狙う。

〈大連源信国際貿易/重衣料中心の貿易会社〉

 2004年に設立された重衣料中心の貿易会社。低価格品の大ロット生産を得意としている。協力工場は遼寧省と山東省にある。生産アイテムは、スポーツやアウトドア、カジュアルウエアの秋冬向け織物製ジャケットやスキーウエアなど。日本向けと中国内販を手掛けており、売り上げ比率は日本70%、内販30%。23年売上高は約800万ドルだった。

 日本向けは、日本の商社経由で手掛けている。近年は急激な円安や暖冬の影響に悩まされている。日本の顧客の価格要求に応えるため、ミャンマーでの生産を間もなく始める予定だ。

 AFF展には毎年出展している。16回目の今回は、撥水(はっすい)・防風の機能を持つジャケット、耐水圧・防風機能のスキーウエア、発熱機能綿使いのアウターなどをアピールする。

〈威海科日貿易/日本向けメンズシャツなど〉

 1999年に設立された日本向け専門のアパレル貿易会社。品質とサービス力の高さ、厳格な納期管理を強みと自負する。取り扱い商品は、織物製メンズシャツ、カジュアルウエアと、Tシャツ、スエットシャツなど。

 国内の協力工場は、江蘇、浙江、山東の3省、海外の協力工場はカンボジアにある。江蘇、浙江省の工場では織物製衣類、山東省では編み物製衣類とショッピングバッグ、カンボジアではショッピングバッグを生産している。

 AFF展には10年以上継続して出展している。今回展では、メンズシャツとショッピングバッグを紹介する。メンズシャツは織物製で、綿100%とポリエステル・コットン、コットン・リネンなどの素材使いを訴求。ショッピングバッグは、帆布やオーガニックコットン使いをアピールする。

〈烟台綺麗集団/機能素材のユニフォーム〉

 1991年に設立された織物製衣類メーカー。国内の自社工場と、海外(ミャンマーとカンボジア)の協力工場で生産している。自社工場の月産能力は約20万着。生産アイテムは、織物製トップスとパンツがメインで、中でも綿使いのジャケットが得意。

 生地・副資材を迅速に手配できることが強み。仕向け地別売り上げ比率は日本9割強、中国内販と欧米1割弱だ。

 2022年売上高は前年比1割増だったが、23年は微減だったもよう。日本向けは直販と商社経由の双方を手掛けており、近年は直販を伸ばしている。新しい生地の開発を武器に、日本市場の開拓を加速していく考えだ。

 今回展では、機能素材を使ったワークユニフォームとカジュアルウエアをアピールする。ワークユニフォームは、疲労軽減効果が期待できるエアロゲルを採用した製品を紹介する。

〈蘇州永瑪特服装/アルパカ糸使いのセーター〉

 2009年に設立されたセーターメーカー。建物面積4千平方メートルの縫製工場は、独ストール社製のコンピューター横編み機160台、国産機20台を導入し、月産生産能力は4万5千着だ。製品開発からデザイン、生産、販売まで一気通貫で手掛けており、国内外の有名ブランド向けのOEM/ODMを展開。中国内販と輸出の売り上げ構成比はそれぞれ93%、7%で、輸出はほとんどを日本向けが占める。

 日本向けは、直貿と商社経由の双方を手掛ける。近年の売上高は安定している。

 今後は、日本国内での展示会出展などを通じ、市場のニーズをキャッチし、日本の顧客が求める商品、サービスを開発、提供することで売り上げ拡大を目指す。

 今回展では糸、編み地、セーター、縫製・加工のそれぞれの強みを訴求する。糸はアルパカやモヘア使いを出展。セーターはオールシーズンに対応する1・5~18ゲージの製品をアピールする。プリントやビーズ、刺しゅうなどの加工技術も紹介する。