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三陽商会/リユース販売を事業化へ/回収目標は年間5万枚

2024年04月01日 (月曜日)

 三陽商会は、サーキュラーエコノミー(資源循環経済)実現への取り組みとして、リユースを前提とした衣料回収を3月28日に開始した。直営店と一部百貨店内のインショップでスタートし、回収窓口を順次拡大する方針。今後、持続可能なビジネスとしてリユース販売を事業化する。

 回収対象は三陽商会が展開した衣料品と雑貨アイテムに限られる。1点につき「サンヨー・メンバーシップポイント」を進呈する(500ポイント)。回収した衣料品、雑貨は廃棄物を輸送する静脈物流を活用して倉庫に運び、倉庫内で同社の社員が見分けを実施。リユース可能なアイテムについては、提携先でクリーニングを行いさらに動脈物流で輸送、一部の直営店で再販する。

 今夏までに再販を予定する。再販しない回収品のうち、品質表示のダウン率が50%以上の羽毛製品は「グリーンダウンプロジェクト」を通じて羽毛をリサイクルする。その他の回収品については、協業先であるECOMMIT(鹿児島県薩摩川内市)を通じてリユース、リサイクル(繊維製品の素材や固形燃料など)する。

 回収活動は、今年度内に電子商取引(EC)を除く全店舗に広げる考え。年間の回収目標数を5万枚に設定、リユース販売については3年目以降の拡大を視野に、初年度からの2年間はトライアル期間として再販を検証する。従来も一部で衣料回収を行い、繊維製品の原料や自動車内装材などに再資源化していたが、さらに踏み込む内容となった。

 アパレル産業を巡っては、資源やエネルギーの使用、ライフサイクル短命化などの観点から環境負荷が大きい産業とも指摘されている。環境省が実施した「ファッションと環境に関する調査」によると、消費者が手放した衣料品の66%が焼却・埋め立て処分され、リユース率は19%にとどまっていることから、国内でのリユース推進が課題になっている。