「インテキ上海24春夏」レビュー(後)

2024年03月15日 (金曜日)

目立つネット通販ブランド

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル(インテキ)上海アパレルファブリックス2024春夏」(6~8日)の日系企業が集まる「ジャパン・パビリオン」では、備蓄品などによる小ロット・短納期対応をアピールする出展者が多かった。備蓄系生地商社はもとより、備蓄品を展開しない商社も販売代理する他社の備蓄品を打ち出した。

 背景には、ここ数年でネット通販ブランドが、日系企業の生地内販のメイン顧客になったことがある。市況の悪化を受け、在庫をできるだけ持ちたくないこうしたブランドは、小ロット・短納期志向をさらに強めており、「備蓄品がなければ内販は難しい」(現地生地工場幹部)状況だ。

 今回展のジャパン・パビリオンの来場者も、ネット通販ブランドの姿が目立った。豊島国際〈上海〉営業部の呉斌氏は、「昨年に比べ、ネット通販ブランドの来場者が目に見えて増えた」と話した。一方、大手百貨店アパレルは相対的に少なかったようだ。今回展が、各ブランドの加盟店向け予約販売会の会期と重なったことが影響した可能性がある。

 ジャパン・パビリオンに対し、来場者はおおむね好意的な感想を述べた。

 アーバンアウトドアブランド「GOO」(ジーオーオー)創業者の方健俊氏は「ジャパン・パビリオンの出展者の多くが、備蓄品を展開していて驚いた。短納期・小ロットを求める中国のブランドのニーズにマッチしている」と話した。日本の産地の生産キャパシティーが年々縮小し、日本品の納期が長期化する傾向が続いているが、「備蓄品はその問題にも対応できる」とみる。

 ネット通販専業の高級レディース「MARIUS」(マリウス)の生地購買担当、薛莉莉氏も「ジャパン・パビリオンの出展者はバラエティー豊かで良かった。備蓄品が多く、短納期に対応している」と評価する。新興の同ブランドは、ここ数年急成長しており、ニッケやモリリンの織物を使っている。今回展では、宇仁繊維の生地を多数ピックアップした。

 一方、一部の来場者からは「生地商社が合繊使いを増やしているが、中国では高級天然素材使いが求められている」(大手レディース関係者)、「備蓄品が増えたことに伴い、以前に比べ生地の独自性が失われている」(大手メンズ購買担当者)など、辛口の意見も聞かれた。(上海支局、おわり)