ごえんぼう

2024年03月14日 (木曜日)

 米アップルが電気自動車(EV)からの撤退を表明した。開発期間は実に10年にも及ぶ。欧米メディアでは安全性の欠如やアルミ、リチウムといった鉱物資源の高騰を撤退理由に挙げている▼EVで先鞭を付けた「テスラ」や国内勢の「トヨタ」も警戒感を強めていただけに、どこか拍子抜けの印象だ。アップルの熱狂的なファンは「環境にも良い革新的EVを期待していたのに」と嘆く▼日本経済新聞によると「EVはガソリン車の6倍もの鉱物資源が必要」とある。採掘と加工のサプライチェーンが複雑で新興国による資源ナショナリズムの影響も大きくなった▼繊維産業も例外ではない。人件費の高騰や政治的な理由で、地盤を築いた国から撤退する企業を見てきた。国際情勢は産業の行末を左右する。気になるのはEVの普及が環境に悪影響を与える点。採掘は深刻な森林破壊、水質汚染を引き起こす。これぞ本末転倒だ。