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2月 大手アパレル/春物の正価品好調/セレモニー需要も取り込む

2024年03月13日 (水曜日)

 大手アパレルの2月度全店売上高は、売り上げ概況を公表している全6社で増収となった。気温上昇を見込み、春物プロパー商材の投入を早めたほか、式典向けのセレモニー需要も取り込んでいる。前月に続き、ニットウエアが高稼働した。

 オンワードホールディングス(HD)は13・5%増と大きく伸びた。主力ブランドを軸に春物アウターやニットウエア、パンツ類などの中軽衣料、さらにセレモニー服も好調に推移した。オンワード樫山が展開するネット通販の商品を取り寄せて店舗で試着、販売するサービス「クリック&トライ」も顧客拡大に寄与した。オーダーメードブランド「カシヤマ」を展開するオンワードパーソナルスタイルでは、オンラインの販促も奏功している。

 ワールドは7・5%増となった。ニットウエアやショートコートなどの実需アイテムが稼働し、春物プロパー商戦も堅調に推移した。百貨店向けの主力ブランド「インディヴィ」「タケオキクチ」では、セール終盤に高単価のコートが売れた。アイテム別では、カジュアルなマウンテンパーカやショート丈のトレンチコートが例年よりも早く動いたと言う。

 TSIホールディングスは2・8%増となった。撤退ブランドの影響で電子商取引(EC)は10・8%減となったものの、実店舗が2桁%増と大きく伸びた。ECの落ち込みを実店舗がカバーし、3カ月連続で全店売上高は増収となっている。既存店ベースでも7・1%増と堅調。ビジネス、セレモニー服が稼働している。

 三陽商会は8%増となった。同社も春物プロパー商材が稼働し、併行してアウトレット、EC販路のセール商戦も勢いがあった。都心百貨店や直営店ではインバウンド売り上げが拡大。百貨店販路は5%増だった。ブランド別では「ポール・スチュアート」16%増、「マッキントッシュ・フィロソフィー」10%増、「エポカ」3%増と好調。

 バロックジャパンリミテッドは6・8%増となった。カジュアルウエアを中心に春物商材が好調、客数も9・6%増と伸長している。前月は実需に即したコート類が動いたものの、春物への切り替えが進んだ。前月は苦戦していたEC売り上げも7・2%増と急回復している。

 ルックHDは6%増となった。月前半の春節期間に中国を中心とした訪日客が、主力ブランド「マリメッコ」「アーペーセー」などを購入し、プロパー商品が順調に推移。マリメッコでは日本限定商品が高稼働、EC売り上げも5%増と好調だった。