事業拡大の ステージへ 素材メーカー系商社の現在地(5)ユニチカトレーディング
2024年03月13日 (水曜日)
サステ商材一段と充実
ユニチカトレーディングの衣料繊維事業は、サステイナブル商材を一段と充実させている。独自性のある素材を強みに用途開拓を進め、需要の掘り起こしに取り組む。海外ネットワークや異業種とのコラボレーションも活用することで、ソリューション型ビジネスの拡大を目指す。
2023年度(24年3月期)の衣料繊維事業の業績は10月以降こそ需要家の在庫調整で勢いが鈍化したものの、総じて堅調に推移した。ユニフォーム地は企業別注などで新規案件を獲得したほか、スポーツ用途もユニフォーム営業部が販売を担当する体制とした成果が出ている。ユニフォーム用途で需要が高まる長繊維ニット生地でスポーツのノウハウ導入が進む。
一般衣料用途の生地販売も得意の複重層紡績糸「パルパー」を使ったシャツ地など高付加価値品が堅調だ。ただ、寝装用途は市況低迷が続いており苦戦。それでも衣料繊維事業全体では計画を上回る数字となり、営業赤字も縮小し、収益改善が進んだ。シキボウとの連携による開発や提案も着実に成果が上がり始めた。
24年度に関して衣料繊維事業本部長の新居康司取締役は「これまで力を入れてきたサステ素材の提案を一段と強化する」と話す。ポリ乳酸繊維「テラマック」やバイオマス原料由来ナイロン11繊維「キャストロン」、部分バイオマス原料由来ナイロン56繊維「ビーメックスエコプラス」など独自素材を豊富にラインアップする。
シキボウと連携して販売する生分解性ポリエステル繊維「ビオグランデ」やエスビープラニングと共同開発した綿・カポック2層構造紡績糸「パルパー×カポック」などユニークな素材への注目度も高い。また、販売開始から今年で50周年を迎えたバイメタル構造ポリエステル繊維「Z―10」もポリマーの一つをペットボトル由来再生ポリエステルに変更したタイプを重点的に打ち出す。
海外ネットワークの活用も重点テーマ。インドネシア、ベトナム、中国の現地法人を活用し、「強みである技術力を生かしたグローバル販売を拡大する」。そのためグローバル開発センターを中心に海外からの素材開発・発信やサプライチェーンの構築に取り組む。
社内の若手有志と社外のクリエーターが連携してサーキュラーエコノミーの実現を目指すプロジェクト「モリビト」などユニークな取り組みとして注目が高まっており、今後は具体的なビジネスにつなげることを目指す。