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「ポール・スチュアート」/酷暑見据えた紳士服/「家庭で洗える」訴求

2024年03月11日 (月曜日)

 三陽商会が展開するニューヨーク発のブランド「ポール・スチュアート」は、24盛夏向けの衣料品を増やす。6~8月に投入する。猛暑日が続き、残暑が長引くなど、盛夏物のニーズが高まっていることや、ジャストシーズンで購入する消費者が増えていることに対応する。24盛夏向け紳士服では猛暑対策機能と見た目の良さを備えたジャケットを軸に、軽さや快適な着心地、自宅で洗える点などを訴求する。

 「フロータブルレインセットアップ」は機能性とデザインの上品さが売り。価格はジャケットが5万5千円、パンツが2万9700円。素材はポリエステル100%の凹凸感が特徴のシアサッカー素材を採用した。繊維の内部が空洞になっている中空糸を使用し、軽い着心地を実現した。表地には撥水(はっすい)加工を施している。縫い目には撥水糸を使った。雨の日にも適した仕様となっている。

 ジャケットの胸ポケットや袖のボタンをなくし、すっきりとさせた。担当者は「スーツ見えする立体的な作りで、他ブランド商品と差異化を図る」と話す。

 家庭で洗濯ができる点も訴求ポイントに。「新型コロナウイルス禍を経て、従来客の中でもジャケットなどを家庭洗濯したいというニーズが出てきたことや、これまで取り込めていなかった新たな客層へのアプローチを狙った」(担当者)と言う。

 サマーブレザーは、ウールとポリエステルを使ったざっくりと粗い織り目が特徴のホップサック生地を採用。防シワ性や通気性に優れる。価格は9万9千円。これに合わせるパンツに、綿とポリエステルを使用した「プラスクールマイクロ柄トラウザーズ」(2万9700円)を提案する。センタークリース(折り目)の裏地部分に特殊な樹脂加工を施すことでクリースを取れにくくして、見た目のきちんと感にこだわった。

 このほか、ドレスTシャツや半袖ニットポロ、パソコンを入れても軽く感じられる仕様にしたバックパックも投入する。

 カジュアル領域では、涼感を演出する明るい色のポロシャツや、綿と麻を使ったパンツを提案。9月以降の残暑向けには、温度調整がしやすいレイヤードスタイルを打ち出す。Tシャツに羽織るシャツアウターを充実させ顧客ニーズを捉える。

 直近の商況は、2月の売上高が前年同月比15%増と好調。春物を早期に展開したことや、安売りしない定番商品の確立を進めたことが奏功する。特に春向けブルゾンやニット製品、シャツといったカジュアルアイテムの売上高が前年同月比の2倍に増えた。3~4月はジャケットのスタイリング提案を強化し、見た目の上品さを訴求していくと言う。