中国から届く新たな風 ザ・メーカーズ・アパレルショー(1)

2024年03月11日 (月曜日)

期待裏切らない提案

 中国のOEM・ODM関連企業102社が集い、このほど東京都内で開催された商談会「ザ・メーカーズ・アパレルショー」。今回が初開催だったが、会場のサンシャインシティ文化会館(豊島区)は多くの来場者でにぎわい、期待の高さがうかがえた。出展者も期待を裏切らない提案を行い、密な商談が行われた。

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 中国にとって日本は繊維関連製品の有力な輸出先の一つ。為替の動向もあって全体感としては厳しさもあるが、中国のODM・OEM企業にとって日本はまだまだ魅力のある大きな市場と言える。今回の商談会も日本企業との新しい取り組みやビジネスの深化を目指す企業が一堂に会した。

 ザ・メーカーズ・アパレルショー事務局が主催した(日中経済貿易センターと共催)。衣料品や素材(糸・生地)、副資材、服飾雑貨などの各種製品、デザイン、サービスが提案された。出展企業の多くが対日貿易で豊富な経験を持ち、機能や品質面に加え、短納期や小ロットを意識していたのも特徴的だった。

 事務局のメンバーの一社で、リーダー的役割を果たした北京和霽商務策劃の翟鑫董事総経理も「短納期や小ロットに対するニーズがこれまで以上に大きくなっていることは各社が意識している」と話した。工場の生産能力でも異なるが、多くが納期は1カ月程度とし、中には1週間にも応じるという声があった。

 各種タグを紹介した海塩裕豊新材料、ハンガーを展示した浙江国松家居股份をはじめ、副資材関連では、日本の展示会・商談会への出展は今回が初めてという企業の姿も目立った。いずれも欧米市場向けなどで実績を持っているが、事業の成長を加速するため、新市場として日本に可能性を求めた。

 日本側も常に新たなサプライヤーを探しているのは事実と言える。開催初日の午前中に会場に足を運んだアパレル企業関係者は「中国は懐の深さ(生産背景)でASEAN地域などに勝る。価格や品質面はもちろんだが、短納期や小ロットへの対応が可能な企業とビジネスができれば」と話した。

 中国出展企業にとっても実りは大きかった。翟董事総経理は「自分たちの強みを把握していない中国企業は少なくない。商談会で『自分たちが知らなかった強みを発掘してもらった』といった声も聞こえてきた」とした。その上で「中国企業は変化している。日本ともっと良い関係が築ける」と強調した。

 第2回のザ・メーカーズ・アパレルショーは、9月4、5日の両日に今回と同じサンシャインシティ文化会館での開催が予定されている。継続開催することで認知を高め、さらに充実した商談会を目指す。