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ロイネ/小寸機で作る丸胴生地/合繊使い機能性に対応

2024年03月07日 (木曜日)

 総合アパレル製造卸のロイネ(東京都品川区)は、胴回りの寸法に合わせた口径の小さな編み機「小寸」(こすん)で作る丸胴生地の提案に力を注ぐ。筒状に編んだ生地を、開反し縫い合わせたりせずに使うことで、脇の縫い目をなくして着心地を良くする。天然繊維が主流だった丸胴の素材に合成繊維を取り入れ、機能性のニーズにも対応する。使用が縮小していた小寸の製法に再び焦点を当て、中国生産の付加価値として活用していく。

 同社と伊藤忠商事、即発集団(山東省)が合弁で設立した青島貴華針織(同)は、編み立て・染色・縫製を一貫して手掛ける工場で、同社最大規模の生産拠点。IT技術を駆使した生産管理体制を築く一方、稼働が減少した機械を再活用して生産の差別化につなげる。

 小寸を使った編み立ては、約20年前まで国内の生産拠点で行っていたが、生産効率が高い大口径の丸編み機の導入拡大に伴い、使用の機会が減っていった。市場のニーズに合わせ、広幅の生産がメインになったためだ。

 小寸の機械は国内工場から青島貴華針織に移設したが、子供向けなどに使用は限定されていた。

 使用が減少した技術を再び打ち出す背景には、同社が得意とするインナーをはじめ肌に直接触れる製品では着心地を追求する傾向が強まっていることがある。体への〝アタリ〟となる脇の縫い目をなくせる点に着目し、小寸の提案再開を決めた。

 現在、青島貴華針織では、幅が8~26インチの間で1インチ刻みで対応できる体制を整えている。特に15インチ以下の丸胴の編み機は希少だと言う。

 綿など天然繊維だけでなく、ポリエステルやポリウレタンといった合繊の使用にも対応し、機能性を備えた製品にも用途を広げる。編み立て後の仕上げ工程で、糸の種類を選ばずセットできる技術を確立している。

 生地のロスを減らせるのも丸胴の特徴だ。通常は生地の使用率が75%程度である開反の製法に対し、丸胴は90%まで引き上げられると言う。コスト面に加え、環境配慮にもつながるメリットを訴求する。

 同社は13~15日、東京都品川区東五反田の東京デザインセンター「ガレリアホール」で総合展示会を開催する。そこでインナーやTシャツなど多様なアイテムに向けて、小寸の活用を提案する。