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三陽商会 猛暑対策に新MD

2024年03月07日 (木曜日)

 三陽商会は6日、猛暑や残暑を想定した24盛夏シーズンのアパレル商品を公表した。セール期間だった例年と違い、6~8月度に鮮度の高い実需アイテムを投入する。商品量も前期比で2割程度増やす。同社では「今までと全く違う売り方になる」(加藤郁郎取締役兼副社長執行役員)と説明している。

 新たに盛夏シーズンのMDを構築。接触冷感や吸水速乾の素材、家庭洗濯ができる仕様を必須とし、さらに晩夏~秋まで着用できるレイヤードスタイル(重ね着)、短丈アウター類も打ち出す。慣例だった6月のプレセール、7月のクリアランスセール、8月の最終セールといった値引き販売も改める。

 従来も春夏秋冬のシーズン性に加え、気温などを考慮した梅春物などのMDを組んでいたが、今季は盛夏シーズンを重視した商品群で厚みを持たせた。正価で販売することを主軸とし「6~8月度は前期比8%増の売上高を見込む」(加藤副社長)とした。

 店頭ではファッション製品の先物買いが減り、気温や気候に合わせたジャストシーズンで購入するケースが増加。また、長く着用できる服への支持が高まっている。品質やデザインが認められれば「正価で売れる。当社が得意とするビジネスやセレモニー対応の服で実証済み」と話す。

 実需対応が奏功し、2月度は前年同月比20%増と売り上げが好調な婦人服『キャストコロン』では2024春夏物全体で約80型、盛夏に向けて約30型を展開する。レイヤードスタイルを中心に秋まで着れるワンピースやブラウス、さらに機能素材の採用を増やした。

 手洗い可能なリネン混ショートジャケットやスカートを用意する。同社の是永亜美キャスト企画課長は「ワンピースは、インナーのニットウエアやブラウスで体温調節ができるデザインにした」と話す。

 セールを抑制し正価販売を期待できる一方、投入時期の設定といったMDの難易度は高くなる。残暑などジャストシーズンでの商品投入は、三陽商会の強みである秋冬コート商戦が1カ月程度遅れることも想定される。挑戦的なシーズンMDとなるが、盛夏物の拡充は標準化する見通しだ。