こだわりの糸 集結 ジャパン・ヤーン・フェア (4)
2024年03月06日 (水曜日)
新素材へ熱視線集まる
「ジャパン・ヤーン・フェア」(2月15、16日)はお膝元である尾州産地をはじめとした東海地方からも多数の企業が出展した。新素材はもちろん、天然繊維にこだわった糸や独自の紡績技術を生かした商材も並んだ。
豊島と長谷虎紡績(岐阜県羽島市)は協業するSpiber(スパイバー、山形県鶴岡市)が開発した植物由来の人工タンパク素材「ブリュード・プロテイン」を使った糸をそれぞれ提案した。長谷虎紡績の長谷享治社長は「量産体制に入っている」と述べており、新素材として業界からの視線は熱い。
豊島はほかにも多彩な素材を打ち出した。高強力糸「グランボンド」や品質の安定性が特徴の再生ウール「サークルウール」、食品残さを染料に活用する「フードテキスタイル」など、天然繊維から合繊までの幅広い提案で注目を集めた。
モリリンの新素材は、再生ポリエステルと「テンセル」モダールの混紡糸「ソマルティ」。接触冷感や紫外線カットのほか、透けにくい特徴を持ち、夏場など暑い時期が長期化している昨今の気候変化に対応した。
天然繊維使いで高付加価値を狙ったのは撚糸・タオル製造販売の浅野撚糸(岐阜県安八町)だ。ウールやオーガニック綿などを使った特殊撚糸「スーパーゼロ」の生地や製品の見本を展示した。天竺やスムースなど汎用性の高い生地と、Tシャツやジーンズなども披露。他社と明確に差別化できる、滑らかで軽いタッチに仕上がる点を訴求した。シャツや肌着を扱う企業からの取り組みの要望も来ていると言う。
独自の紡績技術を生かした糸の提案も目立った。紡毛紡績・毛織物製造の大津毛織(大阪府泉大津市)は、軽さやしなやかさを付与した「エアーヤーン」が人気だった。定番のウール・ナイロン混の糸に加えて、カシミヤ混の糸も披露した。
紡績糸製造販売のカワボウ繊維(岐阜市)は、このほどトライスピン機を9台導入した。ループヤーンやタムヤーンなどの意匠糸が生産可能で、独自技術を使用した長繊維加工のリバーロフト糸を含め、さまざまな紡績糸を生産できる点を周知した。
合繊など長繊維の糸加工を行うカワボウテキスチャード(岐阜県羽島市)は、合繊で天然繊維のような風合いを実現する糸の人気が高かった。ほかにも麻調の「エピセル」やウール調の「尾糸(びいと)」が注目を集めた。
尾州ならではのウール使いも提案。三甲テキスタイル(岐阜県大垣市)はサステイナビリティーをテーマに紹介した南米産のオーガニックウール糸と、ポリエステルと綿を交撚した「アイビーコット」が来場者からの反応が大きかったと言う。