こだわりの糸 集結  ジャパン・ヤーン・フェア(1)

2024年03月01日 (金曜日)

新技術で環境対応

 糸の総合展「ジャパン・ヤーン・フェア」が2月15、16の両日、一宮総合体育館いちい信金アリーナ(愛知県一宮市)で開催された。今回で21回目となる同展には46の企業・団体などが出展し、独自糸を中心にさまざまな提案を行った。

 多かったのはトレンドでもある環境関連の提案で、来場者の関心も高かった。東洋紡せんいでは「さいくるコット」に注目が集まった。通常の反毛ではなく、くず糸や生機、加工反の裁断くず、規格外品を細かく裁断した後に、空気の力で混打綿するため、繊維を傷めない。目面も奇麗で膨らみ感もあり、高品質リサイクル綿糸として打ち出す。GRS認証の取得も可能。20%混で80番手までそろえたが「今後さまざまな糸種の提案」を予定する。

 同社と合同出展した御幸毛織(名古屋市西区)は独自長短複合糸のサステイナブル対応「マナード―EE」が関心を集めた。再生ポリエステル長繊維やトリアセテート長繊維とウールとの複合糸で、その一つ「マナード―EG」は“ツインマナード”と呼ぶ製法。従来は一つの長繊維を開繊し複合化するが、二つの長繊維を使用。長繊維高混率で毛羽も少なくマイクロプラスチック対策にもなる。

 シキボウと新内外綿も合同出展。各種紡績糸を提案したが、中でも新内外綿が参考出品のパイナップルヤーンに関心が高く「すぐに欲しいとの声もあった」。東南アジア製パイナップル繊維30%の綿混紡糸で25春夏向けからの量産化を予定。20、30、40番手糸を展示したが、パイナップル繊維は太く硬く、30%混で40番手は難しいと言う。

 クラボウは機能綿糸「ネイテック」とアップサイクルシステム「ループラス」に絞り込みコンセプトを前面に打ち出した。グラフト重合でコットンに機能性を付与するネイテック。糸値は高いが、生地での混率10%で機能性を発揮でき、綿100%でリサイクルなど環境対応もしやすい点を訴求した。ただ、来場者から「何?」との声もあり、「認知度向上が課題」と話す。

 2015年以来の出展となる専門商社のエコテックス(横浜市)は、ウズベキスタン綿糸「ホワイト・キング」、イスラエル綿糸「レギーナ・イヴ」を紹介した。ともにオーガニック綿で各種環境認証も取得。日本で備蓄し販売する。ホワイト・キングは年間100㌧しか栽培できない希少コットンのコンパクト糸で白度が高く、光沢がある。杢(もく)糸もそろえた。レギーナ・イヴはイスラエル製ギザコットン使い。56㍉の超長綿で、滑らかな風合いが特徴だ。「ホールガーメント」製品をテレビショッピングでも販売する。