往来

2024年02月29日 (木曜日)

 「同じ価格で長期にわたって同じ品質を維持することができない時代になった」と指摘するのは東洋紡せんいの清水栄一社長。世界的なインフレ高進で原材料価格やエネルギーコスト、人件費が上昇し、繊維製品もコスト構造が大きく変化した。これまで同じ生地や製品を同じ価格で供給できたのは、“デフレ”という日本の特殊事情があったからに過ぎない。そして日本もデフレ脱却が進み、「同じ品質を供給し続けること自体を付加価値として認めてもらわないと」と強調する。需要家は今後、同じ価格を求めるなら品質の低下を、同じ品質を求めるなら価格の上昇を受け入れなければ、日本の繊維産業は成り立たなくなるということだろう。