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UTID/多彩な生地で売り先開拓/「1年後大きな飛躍を」

2024年02月29日 (木曜日)

 ユニチカトレーディングインドネシア(UTID、ジャカルタ)は、現地で調達できる生地のバリエーションを増やす。独自の高付加価値素材のサプライチェーンを構築し新たな売り先の開拓に弾みをつける。

 機能や着心地といった付加価値のある生地をインドネシアの協力工場から仕入れ、既存のカテゴリーにとらわれずに提案することで顧客と販売数量を増やす。今年1月、インドネシア人で繊維業界に明るい人材を取締役に入れた。現地工場のネットワークづくりや営業活動を加速させるために、現地の人の視点を生かす。

 UTIDは既に遮熱・クーリング機能、蓄熱保温機能、吸放湿ナイロンといった機能糸をユニチカグループで調達し、インドネシアで生地にしている。さらに同じグループ企業の紡績工場、ユニテックスとの連携も強めており、調達できる素材は年々増えている。現地の織り、編み、染色加工場でもより技術水準の高いパートナー候補となる工場のリストアップを進めており、これから生産できる素材の種類がさらに増える予定だ。

 調達可能な素材の多様化とレベルの高い工場とを組み合わせた独自のサプライチェーンを作ることで、日本向けでも通用する品質の生地をインドネシアで一貫して作れるようにする。

 同社のインドネシアでの生地売りは現在、企業用の別注ユニフォーム地が主力だが今後、現地の一般アパレル向けへの提案を強める。一方、日本市場向けの生地売りでは学校体育衣料も含むスポーツ衣料がメインだが、企業用ユニフォームや一般アパレルに向けた売り込みを強める。

 鈴木伸社長は「今は生地売りが主体だが、長期的にはインドネシアで生地から縫製までして現地、日本、ASEAN圏内にも供給できるようにしたい。今、準備をしっかりとして、1年後には大きな飛躍を遂げたい」と話す。

〈過去最高業績へ/24年3月期〉

 UTIDの2024年3月期業績は、売上高で前期比13%増、営業利益も大幅な伸びとなる見通し。14年3月に同社が発足して以来、過去最高業績を予想する。

 同社の主力事業はインドネシア国内の企業用ユニフォーム地やドレスシャツ地などの販売。この事業で売上高全体の7割程度を占める。今期はエネルギー関連の別注ユニフォーム地を受注するなど企業用制服用途を中心に先染め、後染め織物の販売量が大きく増えた。現地の一般アパレル向けの生地売りも堅調だった。

 売上高の3割程度は日本で流通する衣料品用途の生地輸出による。用途はスポーツウエア、学校体育衣料、カジュアルウエアなど。この事業では学校体育衣料向けで受注が底堅く入り業績に貢献した。

 現地での仕入れや営業活動の効率化を進めるなどして、販売管理費を抑えたことも利益率の上昇につながった。