開発素材・製品めじろ押し/新機能性材料展など東京で開催

2024年02月22日 (木曜日)

 「新機能性材料展2024」や「nano tech2024(第23回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」など、新素材や加工技術に関する総合展がこのほど東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。多種多様な業種の企業が一堂に会し、繊維関連企業も最新の素材や取り組みを紹介した。

 新機能性材料展2024に出展した帝人フロンティアは、不織布の新製品を来場者に提案し、用途の探索・開拓を図った。今回は海洋生分解性を持つスパンボンド不織布(SB)やポリフェニレンサルファイド(PPS)超極細繊維配合の不織布を展示した。不織布以外では、グラフェン放熱塗料などを紹介した。

 海洋生分解性SB不織布は、反応を速めるトリガー物質を添加したポリ乳酸(PLA)を原料とし、理論上2年で完全に分解する。繊維径700ナノメートルの超極細PPS繊維を配合した不織布は、耐熱性や耐薬品性に優れ、孔径が微細かつ均一なのも特徴。グラフェン放熱塗料は物体の表面や内部温度の低減に寄与する。

 旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツは、同展に初出展した。フラッシュ紡糸不織布「タイベック」の新規用途開拓を目的に出展を決めたとし、同不織布が持つ特徴を来場者に伝えることに重点を置いた。防護服や建築資材、工業用資材をはじめとする、現状展開している用途も紹介した。

 タイベックは、耐薬品性(ほとんどの酸、アルカリ、塩に対して不活性)や耐溶剤性、耐折り曲げ性などに優れているほか、軽く、水に強い、通気性といった特徴も兼ね備える。「50年以上販売しているが、個社では用途開拓にも限りがある。顧客と一体となって新しい用途を作っていきたい」と話した。

 日曹商事は、同展で耐炎化繊維「パノーラ」を使った不織布やフェルトを紹介した。パノーラは、特殊なアクリルを200~300℃という比較的低い温度で焼成して作られる(炭素繊維は1200~1400℃で焼成)。高温でも燃焼・溶融しないのが最大の特徴だ。耐熱性や耐薬品性などにも優れている。

 展開用途は広く、エアコン内部(発火源付近の樹脂部品保護)や室外機、農耕機・トラクターのエンジン回り、地下鉄を中心とする車両用断熱材、バイクのマフラー(ヒートガード)などで採用されている。安心・安全に対する意識の高まりによる需要の拡大に期待する。不織布やフェルトにしているため加工も容易にできる。

〈目を引く化学防護服・保護服〉

 展示会では、化学防護服・保護服市場への新規参入や製品の高度化が目を引いた。前田工繊は新機能性材料展(日本不織布協会のブースに出展)で自社開発の防護服を展示した。3層構造のポリプロピレンSBを使ったタイプ5の化学防護服(浮遊固体粉じん防護用密閉服)で、24~25年度に販売開始を目指す。

 防護服では後発になるが、日本製を前面に打ち出して存在感を示したいとしている。基布は自社工場で生産し、縫製も国内で行う。そのほか、「海外製品はサイズが大きい場合が多い。パターン設計にこだわり、日本人の体形にあったサイズ展開」を図る。BtoBを主体に、BtoCでの販売も検討する。

 東レは、nano tech2024にブースを構えた。複合紡糸技術「ナノデザイン」などとともに展示したのが、新規抗ウイルス粒子「ナノセリア」。ナノセリアの水分散液は新型コロナウイルスを99・99%不活化(第三者機関での試験結果)するなど、高い性能を誇る。

 ブースでは、ナノセリア水分散液を応用した使い切り化学防護服・保護服「リブモア」を紹介した。インフルエンザウイルスに対して不活化率99・9%を示し、ウイルスバリア性はクラス3をクリアしている。24年度の販売開始を目指す。

 同社は新機能性材料展2004にも出展。同展では人工皮革「エクセーヌ」やフッ素繊維「トヨフロン」などを提案した。