繊維ニュース

東洋紡せんい 来期は真のスタートライン

2024年02月21日 (水曜日)

 東洋紡グループの衣料繊維事業を結集して2022年に発足した東洋紡せんいの収益改善が順調に進んでいる。23年度(24年3月期)は営業黒字に浮上する見通しとなった。清水栄一社長は「24年度は東洋紡せんいとして真のスタートラインに立つことになる」として、さらなる要素技術の開発と効率化を徹底することで利益拡大を目指す。

 清水社長は「価格改定と不採算分野からの撤退を進めたことや工場再編などの効果が上がっている」と話す。特に利益率改善が課題だったスポーツ事業は採算の悪い一部製品OEMを縮小し、ユニフォーム事業もワークウエア向け定番品で不採算品から手を引いたことで収益が改善した。

 今後に関して「スポーツは自社の強みを改めて精査し、総花的ではない提案に取り組まなければならない」と話す。また、ユニフォーム事業は引き続きワークウエア向けで合繊ニット生地の提案と白衣・サービスユニフォーム用途に力を入れ、収益性の強化に取り組む。

 一方、スクール事業と輸出織物事業は23年度も堅調。スクールは学生服地のニット化の流れをうまくとらえていることに加え、学校体育服で新規案件も獲得した。輸出織物は中東民族衣装向けの好調が継続。欧米のスポーツ・アウトドアブラン向けナイロン高密度織物は市況に勢いがないものの、サステイナブル原料の導入で需要掘り起こしに取り組んでいる。

 非衣料分野の開拓も今後の課題に挙げる。23年度から自社生産するメディカル製品や生活資材が東洋紡STCから東洋紡せんいのマテリアル事業に移管されたことを生かし、保有する要素技術や生産設備を生かした新規開拓に取り組む。

 24年度も引き続き利益重視の姿勢で臨む。清水社長は「KPI(重要業績評価指標)は売上高ではなく、資産効率とその結果である営業利益」と強調する。そのためにメーカーとしての強みを見極め、要素技術の開発とさらなる効率的な事業運営に取り組む。