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1月 大手アパレル/暖冬傾向で明暗/中軽衣料でカバーできず

2024年02月20日 (火曜日)

 大手アパレルの1月度全店売上高は、ワールド、TSIホールディングス(HD)、バロックジャパンリミテッドの3社が増収となった。月中旬まで気温の高い日が続き、重衣料の動きが鈍化。月後半は気温が低下し、ダウンジャケットやウール素材のコートが稼働した一方、前半の遅れをカバーできなかった。

 オンワードHDは0・4%減とほぼ横ばいだった。春物の新作アイテムやセレモニー対応のアイテムを軸に、プロパー販売が堅調だった。重衣料の動きは鈍かったが、中軽衣料で健闘。事業会社オンワード樫山のOMO(オンラインとオフラインの融合)サービス「クリック&トライ」の利用も引き続き拡大している。

 ワールドは2・4%増だった。年初のセールが好調で、特にSC向けのブランドが活況だった。成人の日にかけては百貨店ブランドも稼働し、電子商取引(EC)では高単価なジャケット、コートも動いた。春まで着用できる明るい色めのハイゲージのニットウエアなどが売れ筋。ブランド別では「オペークドットクリップ」「インデックス」などミドルロワー向けが好調だった。

 TSIHDは2・8%増だった。撤退ブランドの影響でECは6・8%減となったものの、セレモニー需要などを取り込んだ実店舗は8%増と伸長した。EC売り上げの減収幅が圧縮し、2カ月連続で全店売上高は増収となっている。既存店ベースでも5・5%増と堅調。

 三陽商会は1%減となった。スーツ、ジャケットを求めるビジネス需要を取り込んだが、ニットウエアなど中軽衣料の品ぞろえが不十分だった。月後半は春物の前倒しで盛り返した。EC・通販はサイトリニューアルの効果もあり、前年を上回っている。ブランド別では「マッキントッシュ・フィロソフィー」が10%増と好調だった。

 バロックジャパンリミテッドは6・1%増と伸びた。年初の初売りやセール商品が高稼働した。実需に即した冬物アイテムも堅調、既存店売上高も5・5%増となった。客数は4・6%増で、EC売上は3・4%減。客単価は1・5%増となっている。

 ルックHDは6%減となった。2024年1月から月次売上高を開示。暖冬傾向で冬物セールの動きが鈍かったほか、主力インポートブランドで値上げ前の駆け込み需要の反動もあった。月後半は「マリメッコ」で記念商品が高稼働して盛り返したが、前半の遅れを取り戻せなかった。