日清紡テキスタイル 基幹のシャツ軸に成長へ

2024年02月19日 (月曜日)

 日清紡テキスタイルは、基幹となるシャツ事業で成長を加速させる。村田馨社長は「より消費者に支持される機能性を持った付加価値の高い商品開発に取り組む」と話す。

インドネシアの拠点を軸にした海外向け生地販売では中東向けにトーブなどの民族衣装用生地輸出が倍増。液流加工機など設備投資も進める。

 日清紡ホールディングス(HD)が9日に発表した26年12月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、繊維事業で売上高430億円(前期374億円)、営業利益19億円(同4億2千万円の損失)の目標を掲げる。

 23年12月期業績は、ブラジル紡績子会社での販売不振と、マスク需要縮小を受けた熱可塑性エラストマーの販売苦戦を受け減収となり、営業損益は赤字に転落した。ただ、シャツ、ユニフォームを含めた衣料向けテキスタイル販売だけを見ると増収増益と堅調だった。

 シャツ事業は形態安定加工シャツ「アポロコット」を中心に販売を伸ばし12%の増収。特にインドネシアの生産拠点を軸に取り組むローカルを含めた海外向け売上高は、22年度の2割から前期3割にまで拡大。中でも中東民族衣装向け生地輸出は倍増し、海外向けの3分の1を占めるまでになってきた。

 昨年8月に織布・染色加工拠点の日清紡インドネシアへ吉野川事業所(徳島県吉野川市)から液流加工機を移設した。「グローバルに拡大する」ため、さらに液流加工機の新台増設を検討する。同9月には紡織拠点のニカワテキスタイルに増設した渦流紡績機「ボルテックス」2台も順調に稼働。他の紡績機も中期的に革新タイプに置き換え、開発力を高めながら「新しいモノ作りにつなげる」。

 綿製品の繊維to繊維リサイクル技術の確立を進める「シャツ再生プロジェクト」では、昨年中にシャツのサンプルを作る予定だったが、再生セルロース繊維糸の強度が強すぎて織布化で少し遅れ気味となっている。ただ、同事業所では16時間の連続紡糸に成功しており、複合素材からセルロースのみを分離する設備を今月中に導入する。安定生産に向けた動きが進んでおり、「今年は資源循環に向け前進する1年」と期待する。