繊維ニュース

合繊メーカー4~12月期 健闘する繊維事業

2024年02月15日 (木曜日)

 合繊メーカーの2023年4~12月期連結決算は、全社ベースでは大幅減益が相次ぐなど化学工業分野の市況低迷の影響を大きく受けたが、繊維事業は増益や収益化改善が進むなど健闘するところがある。

 東レの繊維事業は減収ながら2桁%の増益。衣料用途は欧米の市況悪化、衛材用途は需給バランス失調で低迷したが、産業用途は自動車向けの需要回復やEV向けの販売拡大で回復傾向が続いた。一方、炭素繊維複合材料事業は航空宇宙用途が回復も圧力容器を含む一般産業用途の市況軟化で減収減益だった。

 帝人の繊維・製品事業も減収ながら2桁%の増益となった。衣料分野は国内外ともに販売が堅調に推移し、産業資材分野も水処理フィルター向けポリエステル短繊維や人工皮革、インフラ補強材が好調だった。アラミド繊維と炭素繊維を含むマテリアル事業も現在実施する収益性改善策の効果で営業損失が縮小した。

 旭化成のマテリアル事業のうち、モビリティ&インダストリアル事業は売上高2838億円(前年同期比0・8%減)、営業利益85億円(11・4%減)だった。自動車内装材は自動車生産台数回復や生産能力増強の効果で増益だった。ライフイノベーション事業は売上高2875億円(1・3%減)、営業利益215億円(21・3%減)だった。

 東洋紡の環境・機能材事業は増収増益。スーパー繊維や不織布は勢いを欠いたが、VOC回収装置やエンジニアプラスチックが堅調だった。機能繊維・商事事業は増収で営業損失も縮小した。衣料繊維で価格改定と不採算品からの撤退を進めたことで採算が改善し、エアバッグ基布も自動車生産台数回復と価格改定の効果で採算が改善した。

 ユニチカの繊維事業も営業損失が縮小した。衣料分野はユニフォーム地が堅調に推移。価格改定やコストダウンの効果も徐々に表れている。一方、機能資材事業は営業損失が拡大した。不織布は生活資材や1次産業向けの販売が減少。価格改定も実施したが、原燃料高騰などコストアップに追い付かなかった。産業用繊維はポリエステル短繊維がフィルター向けで回復も、建築資材向けなどポリエステル高強力糸の販売が減少した。