特集 第21回ジャパン・ヤーン・フェア&「THE BISHU」(7)/こだわりの原料・製法で差別化/ミマス/モリリン/松村/ユニチカトレーディング/木曽川染絨/宮田毛織工業

2024年02月09日 (金曜日)

〈多彩なヘンプ混紡糸提案/ミマス〉

 意匠糸など特殊糸製造が主力のミマス(三重県玉城町)は、ヘンプ使いの混紡糸を中心に提案する。同社は少量から備蓄販売する。ヘンプ使いの混紡糸も同様。綿混、海洋生分解性レーヨン短繊維混、ペットボトル再生繊維混などをそろえる。

 綿ヘンプ混糸は綿45%・ヘンプ55%と綿70%・ヘンプ30%の2タイプ。それぞれ10・20番手、20・30番手をラインアップする。

 海洋生分解性レーヨン短繊維混糸はダイワボウレーヨンの「e:CORONA(エコロナ)」を使用。ペットボトル再生繊維混糸は帝人フロンティアの「エコペット」短繊維を使用する。混紡糸だけでなく、ヘンプ100%紡績糸も仕入れで品ぞろえする。

 ヘンプ以外では天然繊維ライクや機能性のあるポリエステル紡績糸も提案する。

〈環境配慮型の機能性素材/モリリン〉

 モリリンは「エコアプローチ」をキーワードに再生原料使いで環境配慮を表現し、さまざまな機能性を付与した糸や素材の認知度向上を狙う。

 新たに紹介するのが、長期化する暑い時期に適する「ソマルティ」だ。異形断面の再生ポリエステル70%と「テンセル」モダール30%の混紡糸で、接触冷感、紫外線カット、吸水速乾などの多機能性を発揮。透けにくい特性を持つことから、インナー向けにも適する。

 再生ポリエステル使いの吸水速乾素材「クールマックス・エコメイド」や保温性を持つ「サーモライト・エコメイド」は糸と生地で扱う。120色以上の色数を持つ。

 GRS認証を受けた再生ポリエステルとメリノウール混の「メリノアーマー」も紹介。ウールの風合いを残しながら、ピリングなどの欠点を補う。

〈セリシン定着生糸など/松村〉

 シルク専門商社の松村(京都市)はセリシンを定着させた生糸、起毛した絹紡糸を提案する。

 生糸は通常、精練などによってセリシンを除去する。セリシンを残し、定着させると肌への刺激が少ないなどの試験結果もあり、シャリ感も出ることから夏の清涼インナー向けなどを狙う。

 100%糸のほか、綿との交撚糸などもそろえ、織物用途にも投入する。

 起毛糸は絹紡糸の色糸備蓄販売「ココン」(60色)をベースに、起毛加工を施したもので、横編みセーター向けに提案する。

 今回展ではシルクの吸湿性・放湿性、保湿性などの特性のほか、生分解性を持ち、生糸だけでなく、絹紡糸は蚕が最初に吐き出す糸、きびそを原料とし、紬糸(ちゅうし)は絹紡糸を製造する際の落ちわたを原料とするなど持続可能性繊維である点も紹介する。

〈サステな長・短繊維/ユニチカトレーディング〉

 ユニチカトレーディングは、長繊維と短繊維紡績糸いずれでもサステイナビリティーに焦点を当てた糸を中心に提案する。

 短繊維紡績糸ではシキボウと共同展開する生分解性ポリエステル「ビオグランデ」を活用した糸や、複重層紡績糸「パルパー」の芯にデュポンの植物由来ポリマーによるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を採用した「パルパー・メイド・ウイズ・ソロナポリマー」を提案する。

 長繊維では、今年で販売開始から50周年を迎えるバイメタル構造ポリエステル繊維「Z―10」の再生ポリエステルタイプを紹介。そのほか、非可食植物原料由来ナイロン11繊維「キャストロン」も提案する。

〈草木染の独自生地訴求/木曽川染絨〉

 ニット染色専業の木曽川染絨(岐阜県笠松町)は草木染めによる生地の自社ブランド「キソテキスタイル」「キソナチュラルダイ」などを中心に訴求する。

 キソテキスタイルは植物から抽出した天然染料100%で染色しており、経年による色の変化が楽しめる。天然繊維100%の「ボタニックス」と天然繊維と合繊複合の「ボタデジ」の2種類を展開する。

 昨年の「プレミアム・テキスタイル・ジャパン」では起毛品を手に取る来場者が多かったため、今回展でも起毛商品を多く並べる。

〈ジャカード編みで立体柄など/宮田毛織工業〉

 丸編み地製造の宮田毛織工業(愛知県一宮市)は天然繊維から合繊までの幅広い素材を使用し、ジャカード編みによる立体感など多彩な柄を表現した生地を並べる。

 ウール使いでは紡毛のシャギー調やウオッシャブル対応のメッシュ生地などを訴求。綿、ナイロン、ポリウレタン使いの生地は織物ライクな見た目を表現した。

 ジャカード編みで特徴的な柄も展開する。ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン使いではフクレによる表面変化を狙った。