特集 第21回ジャパン・ヤーン・フェア&「THE BISHU」(6)/こだわりの原料・製法で差別化/トスコ/豊島/長谷川商店/長谷虎紡績/フジチギラ

2024年02月09日 (金曜日)

〈ラミーの打ち出し強化/トスコ〉

 トスコ(東京都中央区)は、ラミーのラインアップを拡充し、提案を強化する。100%使いの「MISTY」(ミスティー)は、これまでトップ糸と染め糸を合わせて16色での展開だったが、染め糸の色数を11色追加する。リネン価格の高騰が続く中、ラミーの需要を再度掘り起こす。

 ラミーは、風合いはリネンと比べると硬くなるが、独特のハリ感や奇麗な表面感といった特徴を持つ。ミスティーは36番(毛番)と48番をそろえており、シャツやアウター用途で訴求する。新色はクリームイエローやパパイア、ベビーピンクなど奇麗めが中心。

 ブースではラミーとリネンの違いも説明。そのほか、リネン20%・レーヨン80%混で、ソフトな風合いが特徴のトップ糸も訴求する。生地40点、糸30点を展示する。

〈機能性や環境配慮など多彩に/豊島〉

 豊島は「新しいテクノロジー・機能素材」と「環境配慮型素材」をコンセプトに合繊から天然繊維までの商材を提案し、多彩な顧客ニーズに応える。

 「新しいテクノロジー・機能素材」では、一般的なポリエステルの約2倍の強度を持つ超高強力素材「グランボンド」や、同社と協業するSpiber(スパイバー、山形県鶴岡市)が開発した植物由来の人工タンパク素材「ブリュード・プロテイン」などを訴求。ほかにもモダクリル繊維を使用した難燃素材「アグニノ」や「テンセル」リュクスなどを打ち出す。

 「環境配慮型素材」では、色の再現性や毛率、紡績性などが安定している再生ウール素材「サークルウール」に加えて、廃棄食材を染料に活用する「フードテキスタイル」、回収した衣料品によるポリエステル素材「ブリングマテリアル」を提案する。

〈シルク使いの糸・編み地/長谷川商店〉

 長谷川商店(愛知県一宮市)はシルク原料を使用した、人気の高い糸と編み地の拡販を狙う。

 シルク100%でウオッシャブル加工を施した120番双絹紡糸「マーチン」はさまざまな製品に使われている。整理加工で風合いや糸の表面の形状をキープする。女性向けのトップスや肌着に適する。

 冬物アウターに適した編み地「シルクフリース」も訴求を強める。シルク100%裏毛生地を両面起毛したもので、柔らかさとしなやかさが際立つように仕上げる。

〈他社にない差別化糸充実/長谷虎紡績〉

 長谷虎紡績(岐阜県羽島市)は、今回もグループ企業と連携で出展する。前回は「一体感がなかった」という反省をもとに、今回はテーマごとに絞り込んだ内容で発信。羽毛回収、人工タンパク質繊維「ブリュード・プロテイン」、高純度微粒子セラミックス練り込み機能素材「光電子」、耐薬品性や耐熱性に優れる高機能繊維「カイノール」、同社の歴史を紹介する。

 2022年には紡績設備で本生産ラインと同じ機台の開発ラインを新設するとともに、2層構造糸の生産設備を導入し、長短複合糸などの生産ができる体制となった。「他社にない」糸の開発の幅が広がりつつある。

 ブースにはリサイクルナイロン糸「エコニール」を使ったカーペットを敷き、生活にも密着している同社の商品が実感できる。

〈発熱ウールの認知拡大/フジチギラ〉

 糸商社のフジチギラ(山梨県富士吉田市)は、太陽光などで発熱・保温するウール糸「バナウォーム」、防縮ウール使いの「バナウォームプラス」を展示する。ニット用途で細番手糸を新たに打ち出すほか、織物の経糸用途でも訴求する。

 バナウォームは、山梨県産業技術センターの特許技術を活用して開発した。ミネラルの一種であるバナジウムを溶かした染料で染め上げて発熱性と保温性を付与する。販売は伸びているが、今展の継続出展でさらなる拡販を狙う。

 ニット用途は、32番双糸で展開してきたが、48番双糸と60番単・双糸を追加。48番と60番はまだ開発段階のため1色ながら、今春にはブラックやネービーなどをそろえる。織物の経糸には60番双糸を提案する。