特集 第21回ジャパン・ヤーン・フェア&「THE BISHU」(5)/こだわりの原料・製法で差別化/タロダ/東洋紡せんい、御幸毛/東和毛織/滝善/東亜紡織

2024年02月09日 (金曜日)

〈サステベースに感性を/タロダ〉

 タロダ(石川県内灘町)はサステイナビリティーをベースに感性を加えた合繊先染め糸の提案に力を入れる。

 同社はかほく産地の細幅織物向けを主力とするが、近年は横編みや経編みなどニット向けやジャカード織物向けなどにも展開を広げている。

 ポリエステル先染め糸の見本帳を幅広くそろえ、再生ポリエステル「エコッタ」やストレッチ性を加えた「エコッタα」などを展開する。再生ポリエステルだけでなく、V&Aジャパンの生分解性ポリエステル「クラフトエボリーテ」を使った先染め糸もそろえる。

 足元ではサステにプラスアルファを加えた商品に力を入れ、昨年秋の北陸ヤーンフェアでは糸に凹凸を付けて杢(もく)感を出し、短繊維調に仕上げた再生ポリエステル糸などを紹介した。今回展では見本帳展開する糸をベースに感性を加えた先染め糸を拡充し、リリヤーンなども紹介する。

〈サステ×機能性を提案/東洋紡せんい、御幸毛織〉

 東洋紡せんいと御幸毛織は今回も共同ブースを構え、サステイナビリティーと機能性を両立した糸や得意の長短複合紡績糸を披露する。

 東洋紡せんいは、新方式の開繊技術による反毛を原料にした高品質リサイクル綿糸「さいくるこっと」を披露する。反毛原料を使いながらも細番手や、吸汗速乾・高通気綿糸「爽快コット」や空気層を多く含む特殊綿糸「エアリーコット」などの特殊紡績を適用することが可能になった。オーガニックを含む高グレード綿花を使用した新感覚綿糸「プライムコット」も提案する。

 御幸毛織は、得意のウール・ポリエステル長繊維複合紡績糸「マナード」のバリエーションを披露する。ポリエステル高混率タイプや、長繊維に三菱ケミカルグループのトリアセテート繊維「ソアロン」を採用したタイプも用意した。

〈希少性高い原料特徴生かす/東和毛織〉

 東和毛織(愛知県一宮市)は希少性の高い獣毛など天然繊維の特徴を生かした糸を展開する。渡邉淳一郎社長は「靴下や服飾小物を製造する産地や企業にも訴求を図りたい」と話す。

 17・5マイクロメートルと極細の豪産ウールに特殊な防縮加工を施し、膨らみや弾性を保持した46番双糸「ジャスパー」を新たに披露。ウオッシャブルで乾燥機使用にも対応する。

 素材特徴を生かした糸も紹介。産出量が少ないベビースーリーアルパカ74%使用の13番単糸「シエラ」は軽さと柔軟性、しなやかさが際立つ。キッドモヘア50%と防縮ウール20%使用で、トライスピン機で紡績後に起毛した13番単糸「ダーバン」は柔らかな肌触りと光沢を併せ持つ。

 糸の一部にかすり染め後、引きそろえて作るミックス調13番単糸「アディション」もそろえる。

〈生分解性素材を軸に/滝善〉

 滝善(愛知県一宮市)は生分解性ポリエステル使いで自然環境に優しい側面を持ちつつ、素材特性を生かした糸をアピールする。

 生分解性ポリエステルとキュプラを使用した25番単糸「サイヤンキュプラ」は、自然に返る環境に優しい糸として開発した。土壌や海洋中を含めて廃棄条件のもとで生分解されるため、日常の使用には支障はない。キュプラが持つ光沢感やドレープ性も持ち合わせる。伸縮性も備わる。24色展開を予定している。

 生分解性ポリエステルとオーガニックコットン使用の25番単糸「サイヤンコットン」もサステイナブルな糸として訴求を図る。滑らかな肌触りのオーガニックコットンの特徴と、ポリエステルが持つドライタッチを両立させた糸に仕上げる。24色展開。

〈ユーザーの要望に柔軟対応/東亜紡織〉

 東亜紡織は「小規模ながらも生地メーカーやニットメーカーと新しい案件が生まれていると感じている」として、19回目の出展となる今回も独自性の高い糸を中心に展示する。

 光沢としなやかさを備え、高級感を持った抗ピリングの梳毛メリヤス糸「クリムゾン」や、抗ピル性の高い、ウオッシャブルのメリヤス梳毛混紡糸「ジェガポップ プラス」などを打ち出す。それらの糸を使ったセーターも展示し、製品化した時のイメージをつかみやすくする。

 生産では日本唯一のオーガニック認証紡績工場である宮崎工場(宮崎県都城市)があるほか、海外では多品種短納期の中国をメインに、ベトナムでの糸の生産も可能。ユーザーの要望に柔軟な対応ができる点も強みとなる。