特集 第21回ジャパン・ヤーン・フェア&「THE BISHU」(4)/こだわりの原料・製法で差別化/シキボウ/新内外綿/三幸毛糸紡績/シモムラ/高田編物/AMIu

2024年02月09日 (金曜日)

〈技術の掛け合わせで魅せる/シキボウ〉

 シキボウは、グループの新内外綿と連携で出展し、両社の技術を掛け合わせた差別化糸を発信する。光沢が特徴の連続シルケット糸「フィスコ」と、鮮やかな色でメランジ表現できる「アートコット」を組み合わせた素材は、昨年の「北陸ヤーンフェア」で紹介し好評だった。

 新内外綿がカジュアル向けに展開するポリエステル・レーヨン・綿混糸「ERC」では、ポリエステル部分に生分解性ポリエステル「ビオグランデ」を使用。リサイクルポリエステル綿混糸「エコテクノ―ddy」では原着によって水やエネルギーの消費量を抑えることができる。環境配慮糸から機能加工糸まで幅広いラインアップをそろえるほか、靴下やタオルといった製品も用意。独自性の高い糸の特徴を捉えやすい展示で訴求する。

〈エーゲ海綿とパイン糸/新内外綿〉

 新内外綿(大阪市中央区)の見どころの一つはトルコのエーゲ海沿岸部で栽培されたオーガニックコットン100%の輸入綿糸「エーゲ海オーガニック」だ。トルコの繊維企業、エーゲオーガニクス社と提携して商品化する。

 同社は欧州への供給実績が多く、栽培方法も欧州が推奨する手法を採用している。原料までさかのぼって“生産者の顔が見える”糸としてアピールする。20、30、40、60番単糸のコンパクトヤーンで、ニットにも織物にも使える。

 パイナップルヤーンも今年から拡販に力を入れる素材だ。パイナップルの葉脈を原料としたものでヘンプ糸や葦(ヨシ)糸に比べれば柔らかく綿に近い肌触りだ。綿70%・パイナップル30%混、20、30、40番単糸で展開。25春夏シーズンに向け、今秋には本格的な提案を始める。

〈モヘア、ウール×かすり染め/三幸毛糸紡績〉

 三幸毛糸紡績(名古屋市中村区)はモヘアやウール原料使いの糸をかすり染めし、グラデーションのように仕上げた糸や編み地を中心に紹介する。

 キッドモヘア原料の9番タム糸「LPL」は10年以上販売が続くロングセラー。25色展開で、いずれも新川工場(愛知県清須市)で紡績から染色までを手掛ける。編み地にすると、糸が従来持ち合わせる毛足で軽さが表現できる。女性向けトップスへの使用例が多い。

 ほかにも、ウール100%3番スラブ糸など、さまざまな糸を紹介する。

〈撥水先染め糸など紹介/シモムラ〉

 シモムラ(石川県小松市)は、サステイナブル糸を使った先染め糸見本張や非フッ素系撥水(はっすい)糸などを紹介する。

 再生ポリエステル「エコペット」を使った先染め糸見本帳「エコVO」は色数を大きく増やす。これまで88色展開だったが322色にして今回展で披露する。

 ポリエステル系複合繊維「T400」を使った先染め糸の見本帳を新たに展開する。T400はポリエステル部分にリサイクル原料を使ったタイプを使い、ピン仮撚りとDDWを施す。10色をそろえてストック販売する。

 機能を訴求する商品では、非フッ素系撥水加工を施した先染め糸やストレッチ織物を紹介する。ストレッチ織物は生地幅を維持しながら1・5~2倍の長さに伸長し、回復率も高い。これまで厚地中心だったが、薄地を含めて品ぞろえを拡充する。

〈“糸の展示会”を体現/高田編物/AMIu〉

 高田編物(愛知県江南市)と販売会社のAMIu(アミぅ)は今回展もリリヤーン、タム糸、ファー使い意匠糸の新作を多数そろえる。独自の加工技術を駆使しながら、文字通りの“糸の展示会”を体現する。

 リリヤーンは100分の1番手の極細タイプから20番手の針抜き極太タイプまで開発。独自の技術とアレンジを駆使し、他に例を見ない糸を試作する。高田剛社長は「他社がまねできないモノ作りで、その技術を多角的に表現することが大事だ」と話す。

 ほかにも、さまざまな表情を持つファー使いの意匠糸やタム糸も準備している。手芸糸メーカーや個性派のデザイナーなどに訴求を強めたいとする。展示品を通じて技術と仕様通りの形状提供に徹するべく、分かりやすい説明を製販それぞれの視点で行う。