繊維ニュース

UTCの原糸販売 「Z―10」50周年

2024年02月07日 (水曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)のサステナブル繊維営業部は、原糸販売で長繊維と短繊維紡績糸ともにサステイナビリティーを切り口にした提案を強化する。その一つとして販売開始から今年で50周年を迎えたバイメタル構造ポリエステル繊維「Z―10」も低環境負荷タイプを中心に打ち出しを強める。

 Z―10は収縮率の異なる2種類のポリマーを複合紡糸したバイメタル構造の糸。熱処理することで独特の捲縮(けんしゅく)が発現し、ストレッチ性や適度なハリコシ、弾力性と反発力のある風合いが特徴だ。今年で販売開始から50周年を迎え、改めて打ち出しを強化する。

 その切り口の一つが低環境負荷タイプ。糸を構成する2種類のポリマーのうち、一つをペットボトル由来再生ポリエステルに変更したタイプを重点提案する。繊度も110デシテックス(T)から22Tまでフルラインアップした。50年にわたって高い評価を得てきたZ―10だが、低環境負荷タイプも用意することで新たな需要の掘り起こしを進める。

 長繊維ではそのほか、非可食植物原料由来のナイロン11繊維「キャストロン」もサステ糸として重点提案する。44Tと78Tをラインアップし、22Tも開発中だ。ここに来て注目が高まっており、欧州の高級ブランドに採用され始めた。

 短繊維紡績糸もサステ糸の打ち出しを強める。シキボウと共同展開する生分解性ポリエステル繊維「ビオグランデ」紡績糸がその一つ。通常の綿混紡タイプはシキボウが主導するが、ビオグランデ100%紡績糸の提案と販売は、子会社に合繊紡績のユニチカスピニングを持つUTCが主導する。衣料用途だけでなく資材用途への提案も視野に入れる。

 そのほか、2層構造紡績糸「パルパー」の芯部分にデュポンの植物由来ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂「ソロナ」を繊維化したわたを採用した「パルパー・メイド・ウィズ・ソロナポリマー」も重点提案する。

 15~16日に愛知県一宮市で開催される糸の総合展「第21回ジャパン・ヤーン・フェア」&「THE BISHU~糸と尾州の総合展~」にも出展し、これら原糸を紹介する。