ごえんぼう
2024年02月06日 (火曜日)
ジョリス・カルル=ユイスマンスは、19世紀末フランスの作家。『さかしま』『彼方』などの作品で知られる。内務省の役人として勤めながら執筆活動を続けた▼内務省退職の際に勤続表彰を受けるが、出世とは縁がなく、平役人で終わる。インフレがなかった当時は定期昇給の概念がなく、昇進しない限り給与水準は変わらない。ユイスマンスも就職時と退職時の給与がほぼ同じだったそうだ▼19世紀のフランスでは異例とも言える定期昇給を導入したのが、世界初の百貨店、ボン・マルシェ。文芸評論家の鹿島茂氏によると、300~400¥文字(U+3335)の初任給に対して毎年100¥文字(U+3335)程度昇給し、数年で平役人と同程度の年収に達した▼春闘という言葉が耳に入る時期になった。今年の賃上げ率はどれぐらいになるか。繊維業界からも「他業界のA社は」「同業のB社は」といった声が聞こえてきそうだ。「御社は」と聞かれる前に筆をおく。