繊維ニュース

MU25春夏 2日目/にぎわう日本コーナー/各社独自の特徴訴求

2024年02月02日 (金曜日)

 【ミラノ=Imago Mundi代表・両角みのり】イタリア・ミラノで開催中の国際生地見本市「第38回ミラノ・ウニカ」(MU)2日目の1月31日(現地時間)、日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)は多くの来場者でにぎわった。

 初出展のパノコトレーディング(東京都千代田区)は、サステイナビリティーが今のように持てはやされるかなり前からオーガニックコットンを扱ってきた。ギザのオーガニックコットンのベルベットは、特に滑らかで光沢があり、ソフトな色合いが際立つ。また、ナチュラルカラーのコットンを使用したフランネルは、植物の色をそのまま生かし、丁寧に繊維を乾燥させることでソフトな肌触りを実現している。風合いと柔らかさにこだわり、「手を通して伝わる感情を呼び起こす生地を作りたい」と話す。

 綿織物が中心の静岡・遠州産地で早くから麻に目を付けてきた織物製造卸、タケミクロス(浜松市)では、温暖な気候と強い風という風土を生かし天日干しで仕上げたリネンを披露。独特の柔らかな風合いと外観が目を引いた。また生地に機械的な圧力を加えることなく、天然素材の持つ豊かな表情を引き出した、畝(うね)のふっくらとした仕上がりの天日干しのコットンや、コットン・リネンのコーデュロイも展示されていた。

 丸編み地を主力に扱うベルテックス(東京都墨田区)は初の単独出展。洗えるシルクや織物と編み地の特徴を併せ持つ「バランサーキュラー」を使い、編み地に和紙を組み合わせたユニークな生地は、軽くて爽やかな感触が特徴だ。ラメのシアージャージーは、キュプラ繊維の柔らかさ、透明感、ラメ効果を兼ね備えガーゼのような質感を持つ。

 伊藤忠商事もMUへの参加を通じて海外市場向け拡大と強化を狙う。北陸産地を中心に開発した合繊生地ブランド「リビナックス」や、独自のケミカル・リサイクル手法を取り入れたポリエステル糸「レニュー」を打ち出した。廃棄される衣料品や廃材を有効活用することで、循環型経済を推進することを目的としている。

 ハンガーサンプルのみ参加の「JOBプラス」は今回展が最後の予定。3社が出品しているが、製品アピールが他の出展ブースに比べ弱く、客足も途絶えがちなのは残念だ。JOBプラスに初出展したシャンブレー(東京都中央区)は、先染め生地における企画開発の豊富な経験に裏打ちされた生地を展示している。オーガニックやリサイクル素材にも力を入れていた。

 MUを通してイタリアのマーケットへどのように参入を図るか、自社の強みを存分にアピールできるかどうかが鍵を握りそうだ。