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帝人フロンティア 不織布新製品を多用途へ

2024年02月02日 (金曜日)

 帝人フロンティアは、不織布新製品の用途探索を加速する。海洋生分解性を持つスパンボンド(SB)不織布を生活雑貨や土木資材などに提案する。

帝人フロンティアは、不織布新製品の用途探索を加速する。海洋生分解性を持つスパンボンド(SB)不織布を生活雑貨や土木資材などに提案する。ポリフェニレンサルファイド(PPS)超極細繊維配合の不織布は、フィルトレーション(ろ過)などで展開を進める。両不織布とも早い段階で用途の確立を図り、本格販売開始につなげる。

 海洋生分解性不織布は、反応を速めるトリガー物質を添加したポリ乳酸(PLA)を原料とする。温度(低温)やバクテリア数の少なさなどから、海中では土中と比べて生分解が進みにくいとされているが、同社のPLASB不織布は「(理論上)2年で完全に分解する」と言う。

 ティーバッグ用途の引き合いが強く、今後の浸透に期待をかける。そのほか、マルチシートや防草シートをはじめとする農業資材、ドレーンなどの土木資材、エアフィルターといった工業資材用途の需要を探索する。目付や物性は顧客の要望に応じる。繊維やペレットでの販売も検討する。

 一般的なPLA不織布も海洋生分解性を持つが、条件によっては、分解に10、20年かかる場合もあるといわれている。分解速度などで優位性の発揮を狙う。実用期間のコントロールも可能としている。

 超極細繊維配合PPS不織布は、繊維径700ナノ㍍のPPSを複合した湿式不織布。連続使用温度190℃という高い耐熱性や耐薬品性(アルカリ、酸、有機溶剤)などに優れているほか、孔径が微細かつ均一なことも特徴の一つ。空隙率が高いシート設計も可能だ。

 エアフィルターや液体フィルター分野での展開を軸に新用途を探っている段階にある。現在は「中量生産までは可能。量産に入れる体制も整えている」とする。2024年度(25年3月期)以降も用途探索・開拓を続け、「25年度に量産、本格販売に入りたい」としている。