UTCとエスビープラニング

2024年02月01日 (木曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)と、MNインターファッション傘下のアパレルOEM・ODM会社であるエスビープラニングはこのほど、カポック(アオイ科の落葉樹)の繊維を使った2層構造糸「パルパー×カポック」を共同開発した。

これを活用したアパレル製品を両社で一貫生産し、24秋冬から販売を開始する。OEM・ODMでの販売額として初年度2億円、3年後10億円を目指す。

 カポックの実から採れる繊維は天然の中空構造により軽量(綿の5分の1)であり、吸放湿性・調温性に優れる。栽培時に水や肥料を人為的に与える必要がなく、農薬も使わないため、サステイナブルな繊維原料とし注目が高まっている。ただ、可紡性が悪いため糸にすることが難しく、従来は救命具の充填(じゅうてん)材などに使われるのが一般的だった。

 今回、カポックの環境負荷の低さに注目した両社は、エスビープラニングがインドネシアで調達したカポックを使い、UTCの複重層紡績糸「パルパー」の紡績技術を活用することでパルパー×カポックの開発に成功した。芯にカポック・綿混、鞘に綿を配置することで繊維長が短いカポックが綿でカバーリングされ、カポックの脱落を防ぎながら軽量性や吸放湿性を発揮する。芯をカポック・再生ポリエステルにすることで形態安定性を高めたタイプも用意する。

 パルパー×カポックを使い、両社でアパレル製品を一貫生産する。紡績をUTCのインドネシア子会社であるユニテックス、原料調達と織布、染色加工、縫製はエスビープラニングのサプライチェーンが担い、アパレルにOEM・ODM供給する。既に有名カジュアルブランドからメンズのジャケット・パンツなどで受注を得ている。

 織布、染色加工、縫製は当面、中国の協力工場を中心に利用するが、エスビープラニングはインドネシアにも生産網を持つことから、将来的には原料から縫製までインドネシアでの一貫生産も視野に入れる。また、布帛製品だけでなくカットソーなどにもアイテムを拡大する。