特集 24春夏オフィス・サービスウエア(5)/トップに聞く/明石スクールユニフォームカンパニー/ガードナー/アルトコーポレーション/ダイイチ/KAZENホールディングス/エムズ

2024年01月31日 (水曜日)

〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部 プランニング部長兼AC企画課長 伊藤 良太 氏/新たなオリジナル打ち出す〉

 アクティブチャレンジ(AC)部の2023年12月期売上高は、前期比6%増の約22億円だった。「ルコックスポルティフ」を擁するメディカル向けが2桁%増収した。参入から10年以上経ち、全ての歯車がかみ合った状態にある。介護向けは微増だった。

 マスターパターンを二つ用意して、幅広い体形をカバーする「ダブルマスター」が顧客に受け入れられてきた。引き続き魅力を訴求していく。

 女性向けに薄くて透けにくい「シルキートリコット」や男女兼用の「スクラブ」などのヒット商品の備蓄に厚みを持たせ供給力の強化も図る。軽く疲労軽減効果のあるメディカル用シューズなどのヒット商品も生まれた。

 今期は、当社オリジナルブランドを新たに打ち出し商品の幅出しをしていく計画だ。

〈ガードナー 社長 矢澤 崇 氏/新3カ年計画スタート〉

 2023年12月期売上高は43億~44億円を見込んでいる。計画は達成できそうだが、下半期に半導体工場の在庫調整があり、その影響がクリーンユニフォーム分野にも波及した。食品、製薬、工業塗装工場向けは前年並みから微増にとどまった。

 原燃料高や円安は引き続き懸念材料だ。前期は5月に全アイテムの半分ほどを対象に値上げを実施したが、価格交渉の局面で難色を示されるケースも多く、引き続き粘り強く理解を求めていきたい。

 新たな3カ年中期経営計画がスタートする24年12月期の売り上げ目標は、3年後の50億円を視野に入れ前期比5%増を目指す。主力の半導体工場向けクリーンユニフォームは展示会を通してユーザーに直接訴求していくなどして拡販を図っていく。環境配慮素材の採用については、ユーザーニーズはまだあまり高くないが、いつでも対応できるようにしておきたい。

〈アルトコーポレーション 社長 ヒロ瀬 由武 氏/SDGs達成に貢献〉

 2024年2月期決算の売上髙は、下半期に大型案件の納入があることなどから10%近い増収を見込んでいる。25年2月期も大型案件が控えており、前期比で20%以上の増収を計画している。新型コロナウイルス禍の市況悪化から本格的な回復期に移ってきている。

 24春夏では2シーズン連続となる価格改定を実施する。値上げ幅は5%未満に抑えるが、原材料費の高止まりや為替変動リスクなどを考えると十分ではない。

 温暖化ガス排出の削減に寄与するため植物由来ポリエステルなど環境配慮素材を採用した製品の提案を強化している。大手企業のユーザーには理解を得られやすいが、中小企業の場合はコスト面などの問題もありこれからだ。使用済みユニフォームの回収やアップサイクルといった取り組みを通して、SDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献していきたい。

〈ダイイチ 社長 花本 こず枝 氏/営業基盤強化とDX推進〉

 サービス業の景況が上向いてきたことで2024年1月期売上高は前期比微増を見込んでいる。来期もこの流れを生かしながら、地元神奈川に根差した営業基盤の強化と、デジタル技術で企業を変革するDXの推進に取り組んでいきたい。

 県内では今年、川崎市制100周年をはじめ、逗子、相模原で市制70周年、さらには27年開催の横浜国際園芸博覧会に向けて、さまざまなイベントや施設整備が見込まれる。関連するホテル、サービス、ビルメンテナンス業向けユニフォーム需要も増えてくるだろう。その中ではジェンダーレスデザインを取り入れた製品提案の強化も必要だ。

 昨年は入社2、3年目の若手が活躍してくれた。人材育成という面から、さまざまなことにチャレンジできる社風作りが大切だと考えている。DXの取り組みでは、受注オンラインシステムや社内業務の効率化を進めていく。

〈KAZENホールディングス 経営企画室長 三浦 利幸 氏/コロナ禍前水準に回復〉

 人流回復に伴う飲食、サービス業の復調を追い風に、サービスウエアが急速に回復している。食品白衣も堅調に推移。今秋冬は前期比20%程の増収を見込んでおり、新型コロナウイルス禍前とほぼ同等の水準になる。

 異業種併設ビジネスといったマーケットの変化を受けて、24春夏から3カ年の計画で新たな切り口のコンセプト製品を順次投入していく。定番品の回復とのダブル効果で、24春夏も引き続き増収を予想している。価格改定は前期に実施したが、為替変動や人件費などのコスト増を踏まえ、24春夏では全品番のうち10%ほどの商品で平均5~10%の値上げを行う。

 環境配慮素材の採用や資源循環システムのフローを商品に取り込んでいくため、社内で勉強会を始めた。新たな価値観によるニーズの変化を注視していきたい。

〈エムズ 副社長 速水 啓太郎 氏/過去最高売り上げ見込む〉

 人流回復による飲食、ホテル業の復調で、強みとする同分野のユニフォームが快調だ。2024年6月期のユニフォーム事業の売上高は前期比10%以上となる48億円を見込んでおり、達成すれば過去最高に近い水準となる。

 22年秋以降、中小案件が増加傾向にあったが、ここに来て大型案件も加わってきた。生産キャパシティーの確保が今後の課題となる。新領域開拓として進めているゴルフキャディー向けユニフォーム「ミーサ」は計画以上に推移し、給食ウエア「ミラクム」も展示会で手応えを感じている。9月にはホテル、飲食店向けユニフォームのカタログ発刊を予定している。

 レンタル事業は安定しているが、今後に向け運用の見直しやシステムの改善も必要。業界内で優位性を一層高めるため、デジタル技術で企業を変革するDXの考え方も徐々に取り入れていきたい。