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アイルエンジニアリング/合成繊維ケーブル販売/オランダメーカー総代理店に

2024年01月31日 (水曜日)

 インフラ整備事業などを展開するアイルエンジニアリング(岡山県倉敷市)は、オランダのケーブルメーカー、ファイバーマックス社と日本における総代理店契約を締結した。ファイバーマックス社の合成繊維ケーブルの販売と同製品を活用した工事事業の本格展開に乗り出している。洋上風力発電をはじめ、幅広い用途の開拓を図る。

 ファイバーマックス社は2009年設立。帝人のパラ系アラミドなどを使った合成繊維ケーブルを開発・販売する。スチールワイヤと比べて重量が約8分の1と軽く、柔軟性、劣化しにくい、メンテナンスの要否が把握しやすい、伸びにくいといった利点がある。製法は世界35カ国で特許を取得済み。

 合成繊維ケーブルは、欧州を中心に浸透し、洋上風力発電の係留ロープ用途などで使われている。スチール製のワイヤやチェーンでは重量や施工性、さびによる劣化などの問題があったが、合成繊維ケーブルはこれらを解消する。注目度は高く、ファイバーマックス社は第2工場の建設を進めていると言う。

 アイルエンジニアリングは、英国のテクマールグループと業務提携し、洋上風力発電をはじめとする海洋インフラに対するサービスを提供してきた。その実績が評価され、ファイバーマックス社との総代理店契約に至った。今後は、洋上風力発電を中心とする洋上、海中設備へのサービス展開を加速する。

 洋上風力発電は、再生可能エネルギーとして注目され、着床式と浮体式を合わせて35年までに千機以上の設置が予想される。浮体式は、設置できる海域が広いという利点がある一方で、海底200~300メートルにケーブルを施設する必要があり、軽量や劣化しにくい合成繊維ケーブルが優位性を発揮するとみられる。

 アイルエンジニアリングは、業種業態を問わず、合成繊維ケーブルの日本での利用拡大を図る。クレーンなどの建設重機、スマートフォン基地局のワイヤ、魚の養殖網、ガードレール、自動車関連部材をはじめとする用途を想定。「スチールワイヤに置き換わる素材として提案」を強化する。