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東洋紡せんい、御幸毛織 原糸もサステ+機能

2024年01月30日 (火曜日)

 東洋紡グループで衣料繊維事業を担う東洋紡せんいと御幸毛織は、原糸販売でもサステイナビリティーと機能性を融合させた商品ラインアップを拡充している。

2月15、16日に愛知県一宮市で開催される糸総合展示会「第21回ジャパン・ヤーン・フェア&THE尾州~糸と尾州の総合展~」にも共同出展し、新方式開繊によるリサイクル綿糸や得意の長短複合紡績糸のバリエーションなど革新技術を積極的に導入した原糸を打ち出す。

 東洋紡せんいは、新方式の開繊技術による反毛を原料としたリサイクル綿糸「さいくるこっと」を商品化した。従来の開繊方式とは異なり、繊維長を維持した反毛が可能になり、細番手糸の紡績を実現した。吸汗速乾・清涼機能綿糸「爽快コット」や、空気層を多く含む綿糸「エアリーコット」などの特殊紡績技術を適用することも可能になった。

 また、協力関係にある海外の大手紡績と連携し、高グレードの綿花だけを厳選して使用した新感覚綿糸「プライムコット」も重点提案する。カットソーだけでなく織物向けにも幅広く提案する。

 御幸毛織は、得意のウール・ポリエステル長繊維複合紡績糸「マナード」のバリエーションを拡大した。芯のポリエステル長繊維にマテリアルリサイクル品を採用したタイプに加え、伊藤忠商事が供給するケミカルリサイクルポリエステル繊維「レニュー」を採用したタイプも用意する。

 マナードはポリエステル長繊維を使用しているため洗濯時に繊維くずの発生が少なく、マイクロプラスチックによる海洋汚染の原因になりにくい点なども打ち出す。このため従来のウール80%・ポリエステル20%混に加えて、ウール33%・ポリエステル67%混のポリエステル高混率タイプもラインアップに加えた。

 そのほか、ポリエステルに代わって三菱ケミカルグループのトリアセテート繊維「ソアロン」を採用したタイプも開発した。木材由来の半合成繊維であるトリアセテートを使用することで環境負荷低減を狙う。トリアセテートにはイソ吉草酸やノネナールといった臭気成分に対する消臭性があり、アンモニアなどへの消臭性を持つウールと組み合わせることで一段と高い消臭機能が期待できる。

 これら特性や機能を打ち出すことで、主力用途である紳士服地のほか、スポーツ・アウトドア、インナーといった用途への採用拡大も目指す。