繊維ニュース

伊藤忠岡藤会長CEO/繊維には成長する力がある/購買意欲高める開発重視

2024年01月24日 (水曜日)

 伊藤忠商事の岡藤正広会長CEOは23日、大阪市内で会見し、自身の出身である繊維カンパニーについて、「総合商社の中で繊維部門を本体に残しているのは当社だけ。繊維事業に携わりたい学生も多い。わずかずつでも成長していってほしいし、繊維事業にはその力がある」との考えを示した。

 成長に向けて何よりも重要なのは「商品力強化」とし、マーケットインの発想で消費者の購買意欲をかき立てるような開発力を身に付けることが重要と説く。その際にはブランディングやネーミングの工夫によって売れ行きが大きく変わることも、子会社のインナー製造卸、ロイネの事例をもとに紹介した。

 繊維業界で深刻化する人手不足については「正解は一つではない」としつつ、「まずはなぜ人が集まらないのかの分析が大事だ」と強調。その上で自社が10年前から取り組んできた、朝型勤務の奨励など働き方改革を成功事例として紹介した。また「川下化も必要かもしれない」とし、製品事業への進出を勧めた。

 岡藤氏の会見の前には、同社が近年力を入れる「非財務資本の取り組み」を動画で紹介した。人材戦略によって各媒体の就職希望企業の上位を独占するようになったことや、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視したことでESG投資額や評価が急上昇したこと、IR・広報活動の充実によって各機関の評価が1位になったことなどを紹介。これらが創業からの精神である「三方よし」の実践によって得られたものであると強調した。