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タイルカーペット/進むリサイクル/処理方法巡り分断も

2024年01月24日 (水曜日)

 タイルカーペットのリサイクルを巡る動きが活発化している。2023年11月に日本リサイクルカーペット協会(JRCA)が設立され、タイルカーペットの資源循環が加速することが期待される。半面、処理方法の違いによる分断も懸念される。

(長尾 昇)

 JRCAによると、タイルカーペットの年間生産量は2500万平方メートル、市場規模は約700億円。主にオフィスビルなどの床材として使用され、オフィス移転時に現状回復のため廃棄処分されてきたが、使用済みタイルカーペットの基材であるバッキング材を再生して、再びバッキングに使用する水平循環型リサイクルも進む。同リサイクルによる再生塩化ビニル樹脂は、石油由来原料と比べて96%の二酸化炭素(CO2)削減効果がある。

 タイルカーペットの年間回収量は約500万平方メートル、02年からの累計では5630万平方メートルに上る。現状は首都圏で発生する使用済みタイルカーペットの回収が中心で、リサイクルカーペットの市場浸透率は20%程度にとどまる。

 JRCAには設立段階でカーペットメーカーや回収企業、再生原料化企業など約40社が参加。事務局は、資源リサイクル事業を行うリファインバースグループ内に置く。業種の垣根を越えて取り組みを広げることで25年にリサイクルカーペットの市場浸透率50%を目指す。

 JRCAにはサンゲツ、スミノエ、川島織物セルコン、田島ルーフィング、シンコールインテリア、日本絨氈、山本産業など主要インテリア製造卸・カーペットメーカーが参加する。しかし、タイルカーペットのトップメーカーである東リの名前はない。東リによると、JRCA側から全く話がないと言う。

 背景には、リサイクル方法の違いがある。JRCAは、持続可能なリサイクルにはパイルの繊維層(主にマテリアルリサイクル)とバッキングの樹脂層の素材分離が絶対条件とし、リサイクルカーペットに関する品質基準の設定と標準化の推進や、同協会が定める品質基準を満たしたリサイクルカーペットに関する認定マークの付与にも取り組む。

 一方、東リは21年5月に滋賀東リにタイルカーペットリサイクルプラントを本格稼働させ、パイル層とバッキング層を分離することなく、再びバッキング層の一部として再生利用する。処理量は年間2300㌧。取り組みを拡大するため、24年春に2号プラントを稼働させる予定で、処理能力を現状の約3倍に高める。品質面とともに、持続可能性についても訴求を強める考えを示す。

 タイルカーペットのリサイクルを巡っては、伊藤忠商事グループが、資材メーカーのターケット(フランス)が製造する環境配慮型タイルカーペットをリリカラを通して国内で販売、回収する動きも出てきた。ターケットは繊維層とバッキング層を分離してそれぞれ再生できる仕組みを構築しており、新たな選択肢を示す。業界の分断という懸念を抱えながらも、リサイクルが加速しそうだ。