繊維ニュース

豊島 AI活用拡大に注力

2024年01月23日 (火曜日)

 豊島は、人工知能(AI)を活用してアパレル生産の進化を図る取り組みに力を注ぐ。このほど、人の感性と基になる柄の情報を組み合わせることで、数千パターンの柄を生成AIが自動で制作するシステムの提案を開始した。

ファッションブランド、クリエーター、プリントサービス事業者などに同システムの導入を促し、業務効率の改善や新しい発想のヒントにつなげてもらう。

 提案する「n感性AIシステム¥文字(':'+Vdir)バーチャルスタンダード・AIパターン」は、柄を生成AIで作るサービス。

 柄の種類ごとに、「かわいい」「現代風な」「清潔感のある」といった好みを表現する46のキーワードを設けた。加えて「ノーマル」「やや」「かなり」の3段階で強弱の程度を選べるようにした。これらを選択すると、1~2秒で柄が完成する。同システムでは、独自に作成したプリントアートを豊富にそろえている。

 豊島は、3次元(3D)技術を駆使してアパレル生産の効率化に取り組む事業「バーチャルクロージング」を推進する。

 3Dモデリングの多様な活用も進めている。昨年には渋谷パルコ(東京都渋谷区)での「NFFT2023ジェネラティブAI×ファッション展」に参加し、AIが生成したデザインを3Dモデリングで具現化する役割を担った。

 他にも、AIと拡張現実(AR)を活用し、アプリを不要としながらもスマートフォンで使用できる「オンライン試着プラットフォーム」などを提案している。

次世代素材と循環の施策 24秋冬総合展

 豊島は、東京本社(千代田区)で開催中の24秋冬総合展示会で、先進的なサステイナブル素材と併せ、循環型社会の構築を目指す具体的な取り組みを紹介している。会期は2月2日まで。

 同社は20年、植物由来の人工タンパク素材「ブリュード・プロテイン」の開発、量産化を実現したSpiber(スパイバー、山形県鶴岡市)に出資した。展示会では、同素材を使った生地のアパレル製品を通じ、具体的な採用イメージを示す。

 アクリルを含む合繊素材をリサイクルし、グローバル再生素材として展開する「テックリサイク」も打ち出す。合繊についても、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる素材選びを提案している。

 〝循環〟をテーマにした展示では、服の国内循環の確立を目指す「ワメグリ」や、海岸に漂着したペットボトルを再利用する「アップドリフト」に加え、衣類から肥料を生成する技術を持つクレサヴァ(東京都港区)との協業も紹介する。