ごえんぼう

2024年01月23日 (火曜日)

 作家・野坂昭如が実体験をもとに書いた小説『火垂るの墓』は、読みづらい文体で知られる。句点(。)が少なく、読点(、)で文章が続き、なかなか頭に入らない▼句読点は、文章の終わりや文意の切れ目などを示すために使用する符号。日本で広く使われ始めたのは明治時代になってからとされている。諸説あるが、識字教育を進める中、文章を読みやすくするという意図があったらしい▼使い方が難しいのは、句点よりも読点だろう。読点をどこに打つかによって同じ文章でも読みやすさや分かりやすさに差が生じ、意味が変わる場合もある。文筆に携わる職業に就いている筆者もどこで読点を打てばいいか迷う▼文章だけでなく、会話でも句読点は重要なようだ。X(旧ツイッター)で含蓄に富む書き込みを見た。〈相手の話は、途中の「、」で割り込まず、最後の「。」まで聴くことが大切〉。シンプルだが、こちらもなかなか難しい。