三陽商会「サンヨー・オンラインストア」/デジタル戦略に積極投資/自社ECのプラットフォームを刷新

2024年01月22日 (月曜日)

(富山大和に開設した「サンヨー・スタイルストア」)

 三陽商会は昨秋、自社通販サイトを「サンヨー・アイストア」から「サンヨー・オンラインストア」に刷新した。新規の電子商取引(EC)プラットフォームを導入し、ブランドごとに点在していた情報発信サイトとECサイトを統合。ECサイト上での発信力を強化しながら、顧客とのタッチポイントを一元化する。

 通販サイトの名称を「サンヨー・オンラインストア」に変更。情報発信とECサイトにおける商品販売の双方を兼ね備えたメディアコマース化を推進している。同社の中期経営計画においては、ECプラットフォームの刷新効果でブランド間の買い回りを促進するCX(顧客体験)向上を掲げている。

 サンヨー・オンラインストアに刷新したことで、店舗およびEC上の在庫を指定の店舗に取り置き、試着、購入できるサービス「TRY&PICK(トライアンドピック)」を新たに実装した。三陽商会の「アウトレット店舗を除く全店舗(約800拠点)で対応可能」(同社の企業広報課)とした。相互利用率を向上させ、ECと実店舗を横断したOMO(オンラインとオフラインの融合)サービスを提供している。今後は「相互補完体制を確立する」とした。

 さらに今回の刷新で、ニーズの高い決済方法に対応したほか、詳細条件で商品検索の絞り込みを可能にした。昨年9月には同社の公式アプリをリニューアルし、オンラインストアへの導線を強化している。

〈TRY&PICKとは?/スマートフォンからも予約がスムーズに〉

 サンヨー・オンラインストア上で気になる商品や試着したい商品を指定店舗に取り寄せ、試着、購入することができる。ウェブサイトやスマートフォンから予約することも可能だ。

1

商品画面に進み、店舗での試着申し込みボタンをタップする。カラーやサイズ、来店日を指定する。確定メールの返信があれば手続き完了

2

商品が手配できた時点で再びメールが届く。指定店舗で試着することができる。販売員とコミュニケーションを取りながら商品をチェックしよう

3

「この服が欲しい」と思ったら購入することを伝える。色合わせなど販売員はさまざまな着こなしテクニックを教えてくれる

〈トピックス/「サンヨー・スタイルストア」/ブランド複合店で生産性アップ/富山大和を皮切りに6店舗体制へ〉

 昨春、富山大和(富山市)に1号店を開設した婦人服ブランドの複合型店舗「サンヨー・スタイルストア」の出店が増えている。昨年11月には丸広百貨店川越店(埼玉県川越市)へ進出し、計6店舗体制になった。

 富山大和店には「アマカ」「エヴェックス バイ クリツィア」「トゥー ビー シック」「トランスワーク」の4ブランドを展開。三陽商会が主力ターゲットにする、アッパーミドル向けの婦人服を並べている。

 ファッションスタイルの多様化に即応し、幅広い要望に応えている。同店舗では4ブランドの特徴や強みとなるアイテムを地域特性に合わせて提案。シーズンMDも富山大和の顧客に合わせている。

 新たに実装したOMOサービス「TRY&PICK」にも対応し、同店舗の役割が高まっている。顧客は、各ブランドのフロアを回遊せずに商品を購入できる。複数ブランドを限られた販売員で接客することが可能で、生産性が格段に上がる。三陽商会では「多数の服を紹介でき、顧客とのタッチポイントも増やせる」と説明する。既に男性客の試着希望にも対応しており、サービスの認知度も高まりつつある。婦人、紳士服の垣根を超えて三陽商会の商品提供の場として機能を果たしていく。