年頭所感2024/日本百貨店協会/日本SC協会/日本メンズファッション協会/関西スポーツ用品工業協同組合/オンワードHD/三陽商会/ワールド/ワコールHD/ミズノ/デサント/ヨネックス

2024年01月09日 (火曜日)

〈日本百貨店協会/さらに進化する百貨店を/これからが正念場〉

 日本百貨店協会の村田善郎会長(高島屋社長)は年頭に当たり、「足元ではインバウンドや高額消費で百貨店業界は力を取り戻したかに思われるが、これからが再生に向けた正念場。次のステージに向けて、さらに進化する百貨店を作っていこう」と呼びかけた。

 昨年は新型コロナウイルス感染症の5類移行で大きく潮目が変わり、消費に明るさが戻ってきた。高額商材の増勢に加え、主力のアパレルなど幅広い分野で復調傾向が見られ、過去最高益を記録する会員店も。インバウンドは円安効果が後押しする形でコロナ禍前を超える活況にあり、昨年10、11月と2カ月連続で調査開始以来の最高売上高を更新した。

 ただ、2年が経過したロシアのウクライナ侵攻、昨年10月から続くパレスチナ紛争、南シナ海の領有権問題など国際情勢は厳しく、国内でも人材確保の問題や物価上昇、物流問題など懸念が多い。同協会は2021年以降、「店頭における労働環境改善指針」の策定、「人権デューデリジェンスの手引き」「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」の作成、「地域活性化」をテーマとした成功事例の情報共有などを進めてきた。村田会長は「本年もこの取り組みが一層進むことを期待している」と語った。

〈日本SC協会/ウェルビーイング追求/働きやすい環境へ〉

 日本ショッピングセンター協会の清野智会長(JR東日本顧問)は、2024年にSCが取り組むべき課題として、「SCで働く全ての人々のウェルビーイングの追求」「SCが地域の魅力を高める存在へと進化し続けること」「リアルの場の強みを生かした特別な体験価値の提供」を挙げた。

 特に、人手不足の状態が各方面で顕在化し、SCでも大きな問題となる中、SCで働く人のウェルビーイングの追求を重視。デベロッパーとテナントで解決に向け議論を重ねている。業務の効率化や削減、ITを活用した省人化・省力化の徹底、外国人労働者が働きやすい環境整備などを進める。

 地域の魅力を高める動きとしては、人口減少社会における行政サービスをSCが補完することや、公園などとの複合的な街づくり、地域の商品や文化の発掘・発信などを推進。特別な体験価値の提供では、新型コロナウイルス禍を通じて電子商取引(EC)が日常の一部となる一方で、人々がリアルな出会いを欲していることが再認識されることから、さまざまな取り組みを通して、買い物だけでない体験価値を提供する。

〈循環型社会に向け前進/日本メンズファッション協会 理事長 八木原 保 氏〉

 昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、街にはインバウンドを含めて人であふれ、元気と活気が戻ってきた。ただ、環境は大きく変化し、地球は温暖化から“沸騰化”の時代に入り、世界中で多くの災害が発生している。昨年は6月の「第42回ベスト・ファーザーイエローリボン賞」、11月の「第52回ベストドレッサー賞」発表・授賞式などを行い、各事業とも高い注目度と評価を得たが、私たちの業界ももっと循環型社会に向けて進まねばと痛感している。

〈今年は創立50周年/関西スポーツ用品工業協同組合 理事長 田上 晴久 氏〉

 昨年の組合活動では、新型コロナウイルス禍前の行事が順調に開催でき、多くの組合員の方々に参加していただけた。本年もさらに各行事の内容を充実させ連携を深めていきたい。今年は組合創立50周年を迎える。これまで支えてくださった諸先輩、関係する皆さまに感謝申し上げる。微力ながらスポーツ業界、スポーツを愛する皆さまに貢献できるよう進んでまいる所存だ。スポーツ市場の明るい未来と皆さまのご健勝、ご繁栄を祈念いたします。

〈力強く前進する年に/オンワードHD 社長 保元 道宣 氏〉

 今年はオンワードグループ中長期経営ビジョン「オンワードビジョン2030」の達成に向けた成長戦略をアップデートする。また新中期3カ年経営計画の初年度にも当たり、「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」というミッションステートメントのもと、“社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営”のさらなる進化を実現する。「甲辰(きのえたつ)」の干支である本年は、「新たな力強さが芽吹き、豊かな成果を築く年」とされる。それにふさわしい年とするため、グループ事業を力強く前進させる。

〈目標達成にまい進/三陽商会 社長 大江 伸治 氏〉

 今期(2024年2月期)は中期経営計画の2年目に当たる。最終年度目標達成の足掛かりを作るため全社一丸で業務に取り組み、業績も計画に沿ってほぼ順調に進捗(しんちょく)している。3月からは同計画の最終年度となる25年2月期を迎える。ビジョンとして掲げる「高い価値創造力と強靭(きょうじん)な収益力を併せ持ったエクセレントカンパニー」を目指し、計画完遂に取り組む。この1年引き続き気を緩めず、経営陣以下全社の総力を結集して目標達成にまい進する覚悟を新たにしている。

〈対話を一層大切に/ワールド 社長 鈴木 信輝 氏〉

 能登半島地震により被災された皆さま、ならびにご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げる。1日も早い復旧、復興をお祈り申し上げるとともに、ご自身、ご家族の安全を第一にお過ごしください。また、本年もグループ社員一同のつながり、互いのコミュニケーションと対話を一層大切にしていただきたい。ワールドグループならではの多様な人材と事業で「つなぐ力」を磨くことが、成長の土台となる。

〈成功するまで粘り強く/ワコールHD 社長 矢島 昌明 氏〉

 お客さまをはじめとする全てのステークホルダーの期待に応える「行動」の一年になる。外部環境は想定を上回る速さで変化し、今までと同じ意識や習慣で仕事をしていては対応できない。今年は「日々の活動が、お客さまにとっての価値にどうつながるか」という視点を最優先に改善の行動を進めていく。うまく進まないことが出たとしても少しずつ前に進むことが重要だ。失敗を成功までの過程と捉えて、困難に直面しても諦めず、成功するまで粘り強く取り組む。

〈今年は「湧」/ミズノ 社長 水野 明人 氏〉

 今年の漢字として「湧(わく)」を掲げたいと思う。昨年は多くのスポーツイベントが再開され、スポーツの良さを改めて感じる1年だった。今年は夏季五輪を控え一層スポーツに注目が集まる。アスリートたちが、多くの感動や湧々するドラマを与えてくれることだろう。私たちミズノも新しく設立した「ミズノエンジン」を起点に、湧き上がる新しいアイデアで人々がスポーツや日常生活を楽しめるような商品、サービスの開発を進める。

〈DTC事業確立/デサント 社長 小関 秀一 氏〉

 2024年は“攻め”の年とするべく、引き続き「商品力とブランドを磨き上げる」という方針のもと、日本、韓国、中国それぞれのマーケットで各ブランドが世界観や提供価値を明確にブランディングを進める。特に日本では自社工場のブランド化の推進をはじめ、当社の競争力の源泉であるモノづくりをさらに強化し、お客さまが「ワクワク・ドキドキ」しながら着用していただける商品を開発する。改めてお客さまの目線を大切にしたDTC(直営店・EC事業)の確立に取り組む。

〈創業の精神に戻り/ヨネックス 社長 アリサ ヨネヤマ 氏〉

 昨年5月に当社は「グローバル成功戦略(GGS)」を策定した。創業の精神と人々にスポーツの楽しさをお伝えし、スポーツを通じて人々とのつながりを深めていくという使命は今後も変わらない。GGSを実行していくために最も重要なのがコーポレートカルチャーを進化させることだ。私たちが目指すのは「世界のお客さまのために楽しみながら競い合う」カルチャーだ。社員一人一人が創業の精神に立ち返り、新しい戦略に向かってどう行動すべきかを考えてほしい。