新春アンケート どうなる2024年の繊維産業(2)

2024年01月05日 (金曜日)

〈回答企業一覧(有効回答数118社、五十音順)〉

 アイトス、AOKI、青山商事、明石スクールユニフォームカンパニー、旭化成、旭化成アドバンス、アスワン、アツギ、一村産業、伊藤忠商事、イトキン、宇仁繊維、エアークローゼット、STX、MNインターファッション、岡本、オッジ・インターナショナル、オンワードホールディングス、カイタックホールディングス、蔭山、カネヨウ、川島織物セルコン、川越政、菅公学生服、クラボウ、クラボウインターナショナル、クラレ、クロスプラス、クロダルマ、桑村繊維、グンゼ、小泉アパレル、コーコス信岡、コッカ、小松マテーレ、小森、サカイオーベックス、サーヴォ、澤村、サンウェル、三共生興、サンコロナ小田、三陽商会、シキボウ、信友、柴屋、島田商事、しまむら、成願、昭和西川、スタイレム瀧定大阪、住商モンブラン、スミノエ、セーレン、双日、双日ファッション、そごう・西武、ソトー、髙島屋、瀧定名古屋、タキヒヨー、瀧本、タビオ、チュチュアンナ、蝶理、TSIホールディングス、帝人、帝人フロンティア、デサントジャパン、デビス、東亜紡織、東海染工、東洋紡、東洋紡せんい、東リ、東レ、東レインターナショナル、トーソー、豊島、豊田通商、ナイガイ、ナガイレーベン、ナストーコーポレーション、西川、日清紡テキスタイル、ニッケ、日繊商工、日本形染、日本バイリーン、ハネクトーン早川、はるやまホールディングス、バロックジャパンリミテッド、福助、ブラザー工業、フルカイテン、PEGASUS、北高、ボンマックス、マツイコーポレーション、丸紅、丸紅インテックス、丸ホームテキスタイル、三起商行、ミズノ、三越伊勢丹ホールディングス、三菱商事ファッション、森菊、モリトアパレル、モリリン、ヤギ、山喜、ユニオン工業、ユニチカ、ユニチカトレーディング、リュクス、良品計画、ルックホールディングス、ワールド、ワコールホールディングス

〈店頭価格は?/「上昇する」が多数〉

 四つ目の設問「店頭価格は?」の結果は、「上昇する」が78%で最多だった。前回調査では過去最多の89%が「上昇する」と回答していたが、ややその比率が下がり、「変化しない」が9%から22%に増えた。インフレが進む中、「低下する」はゼロだった。

 「上昇する」と予測する中には、「円安の影響が小売りまで浸透する」(日清紡テキスタイル)、「現状の為替レベルが継続すれば、店頭価格に反映させざるを得ない」(シキボウ)、「原材料価格の高止まり、エネルギー費高騰、人件費上昇から、需要が増加しない中にあっても店頭価格を上げざるを得ない状況に来ている」(ニッケ)、「原料価格の高止まりや円安の影響を企業努力だけでは吸収しきれないため」(伊藤忠商事)、「円安で主に輸入コストが上昇しているため」(ヤギ)、「円安などによる原材料・エネルギー価格の高騰」(オンワードホールディングス)、「コストの上昇が続くため」(ルックホールディングス)、「原料価格が高騰するため」(チュチュアンナ)など、円安や原材料費高騰を理由とする回答がほとんどだった。

 「価格転嫁は必須」(川越政、島田商事、東海染工など)という具合に、上がるか上がらないかではなく、モノ作りのコストが増大する中、当然上げていくべきだとする声も上がっている。

 「変化しない」という回答の理由としては、「既に相当上がっており、円安傾向が緩和されれば値崩れする可能性もある。一方で価格転嫁の流れも強く相拮抗するため高止まり」(ナストーコーポレーション)、「賃金上昇やコスト転嫁行動の定着と、原料安、輸出含む総需要の不振で相殺」(旭化成アドバンス)といったものが上がった。

〈国内生産数量が拡大するのは?/「縫製」抑え「化合繊」首位に〉

 設問の五つ目は「国内生産数量が拡大する工程は?」。1位は26票を集めた化合繊(前回は24票で2位)で、前回38票で1位だった縫製は19票で2位となった。以下、編み立て、不織布、染色整理加工、紡績、織布と続き、用意した選択肢以外に、ケミカル類と反毛・リサイクルが1票ずつ入った。

 化合繊が拡大するとの予測では、「フェムテックなど新たな観点からの商材に注目が集まり、より高い機能性を持った原料が必要とされる」(アツギ)、「高機能繊維全般の用途が引き続き順調に拡大すると見込まれるため」(帝人)、「円安メリットにより、北陸産地を中心に輸出が増加する」(イトキン)、「スポーツ・アウトドア分野が堅調に推移するであろうし、日本の化繊は世界的に見てもトップレベルの商品を生み出す能力がある」(タキヒヨー)などが理由として上がった。

 2位の縫製についての予測は、「紛争による供給制約、賃金上昇、円安などを要因として、国内生産需要が高まっている」(伊藤忠商事)、「海外生産の価格メリットが少なくなってきているため」(ボンマックス)、「オーダーなど専門性の高いものの縫製は国内回帰あり」(ワコールホールディングス)といった指摘が見られた。

 例年の回答と同じく、「国内生産はさらなる高度化・高付加価値化の流れが継続するが、量的な拡大が進むことは想定しにくい」(東レ)、「全てにおいて縮小」(丸紅インテックス)など人手不足などを背景に「拡大する国内生産はない」との回答が最も多かった。