ズームイン/紡績糸商社、河辺の代表取締役に就いた北中 正史 氏/業界に新たな旋風を
2023年12月26日 (火曜日)
「糸の魅力や面白さを伝える“メッセンジャー”でありたい」。11月28日付で紡績糸商社、河辺(奈良県大和高田市)の代表取締役に就いた。役員経験を積まず部長からトップという異例の昇進。前任の溝口勝之氏(70)から29歳若返った。
「私自身、11月初めに自分がトップになると知ってとても驚いた」と苦笑い。年上でキャリアが長い社員もいる中、なぜ抜てきされたのか。「近年、靴下業界全体が若返る傾向にある。だから当社も若い感覚や価値観で経営するのが良いという判断だと思う」
入社17年目。営業一筋、特に靴下業界に明るい。「取引先とのこれまでの関係やコミュニケーションを大切にしながらも社内の合理化、効率化、働き方改革を進め、新たな営業先の開拓にも力を入れる。これまでにない挑戦と改革で若い人が仕事を楽しめる雰囲気、環境を作る」
同社は1971年創業。織物や編み物の工場に糸を供給する。地場の糸商だが、活動はとてもグローバル。原料や紡績工場を探すために中国、東南アジアへの出張も日常茶飯事だそう。こうした取り組みを広く発信するために来年、中国法人が初めてインターテキスタイル上海に出展する。
国内での糸の調達にも力を入れる方針だ。「巻き、撚糸、染色などで技術者の高齢化が進み国内の生産背景はかなり弱っている」と危機感を示す一方、「こういうときだからこそ、私たちが新たな仕事を生み出し現場に活気を与えられれば」と前を向く。
同業他社や異業種との連携も構想中だ。「単独ではできないことが2社、3社ならできるということはいくらでもある。同業他社と一緒に珍しい糸を開発したり、売り先とクラウドファンディングで面白い製品を作ったり、新しい旋風を巻き起こしたい」(学)
きたなか・まさふみ 2007年河辺入社、前任の部署はレッグニット部、貿易部の兼任部長。趣味は読書、ゴルフ、野球、マラソン。来年2月に大阪マラソンに出場する。「ゆっくり楽しんで走ること」が完走の秘訣だそう。41歳。奈良県香芝市出身。