繊維ニュース

フィリピン貿易産業省 日比の協力に繊維企業貢献

2023年12月19日 (火曜日)

 フィリピン貿易産業省は17日、日本とフィリピンの協力関係の具体例を示すイベントを東京都内のホテルで開催した。MNインターファッションと吉田染工(和歌山県紀の川市)の「バナナクロス」、スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)の取り組みなどが紹介された。同国のフェルディナンド・マルコス大統領も会場に訪れた。

 日本ASEAN友好協力首脳会議に出席するマルコス大統領の来日に合わせて企画した。イベントは「イノベーションによる創造的かつサステイナブルな経済」と題し、テクノロジーとイノベーション分野での両国の取り組みが展示されたほか、フィリピン人若手デザイナーによるファッションショーも行われた。

 日本企業では、MNインターファッションと吉田染工がバナナクロスを紹介した。フィリピンは、バナナ一大生産国であり、廃棄されてきたバナナの茎を有効活用した繊維素材の注目度は高かった。バナナの茎約25㌔から500~750㌘の繊維が取れることも紹介された。

 同国最大のファッションウイークイベント「マニラ ファッション フェスティバル」に素材提供企業として協賛しているスタイレム瀧定大阪もブースを設置した。同社の瀧隆太社長は「フィリピンのデザイナーのレベルの高さには驚く。若い人が多く、今後はマーケットとしても期待できる」と語った。

 ファッションショーでは、バナナクロスやスタイレム瀧定大阪の生地が用いられた。高品質でサステに対応する日本の素材とフィリピンの伝統的な技法・素材が「うまく組み合わされている」(瀧社長)といった声が聞こえた。

 会場にはマルコス大統領とライザ・アラネタ大統領夫人、フィリピン政府代表者らが出席。マルコス大統領は「両国が経済共創に取り組む意義は大きい」とあいさつし、日本企業のブースを視察。吉田染工は大統領から「バナナは毎日のように食べる。茎の活用はフィリピンとしても期待していると声を掛けられた」とした。