繊維ニュース

シキボウ・原糸販売 連携で新たな開発加速

2023年12月15日 (金曜日)

 シキボウは、グループの新内外綿や、協業するユニチカトレーディング(UTC)との連携による糸開発を加速している。米国のクラウドファンディング(CF)へ綿100%の連続シルケット加工糸「フィスコ」使いのタオルを出品するなど、差別化糸の発信にも力を入れ、販路拡大につなげる。

 今期(2024年3月期)に入ってからの原糸販売は、値上げなどで前期並みの売り上げを維持するが、円安でありながらも海外糸の価格が安値にあることなどから利益面では苦戦。「苦しい時こそ、新しい提案をしていく」ことで来期に向け販売の底上げを図る。

 11月に福井市内で開かれた糸の総合展示会「北陸ヤーンフェア2023」では新内外綿と連携して出展。中でもシキボウのフィスコと、新内外綿の色状変化綿糸「アートコット」を組み合わせたニット糸「フィスコ×アートコット」への評価が良かった。生地染めで杢(もく)の表現ができ、さらに生地へも光沢が付与できる。フィスコで展開する20~60番手で対応できる。

 来年2月に尾州で開かれる日本最大級の糸の展示会「ジャパン・ヤーン・フェア」にも両社で出展を予定する。

 UTCとは生分解性ポリエステル「ビオグランデ」使いなどで「紡績の設備が違う」点を生かし、連携による開発を活発化している。

 昨年に比べ試紡も増加。リング糸やMVS糸や、長短複合糸の供給ができる富山工場(富山市)では特殊レーヨンやポリエステル使いによる差別化糸の要望が増えつつある。来期に向けバルク生産につながることを期待する。

 11月にはフィスコ使いのタオル「SENREI」を米国のCFサイト「キックスターター」に出品した。21年にも日本のCFを活用しタオルを出品したことがあるが、米国のCFへの出品は初の試み。海外への販路開拓のきっかけにつなげる。

 タオルは愛媛県・今治産地の藤高で生産。フィスコの糸の特性を最大限に引き出し、吸水性や洗濯耐久性の高さ、最適なパイル長でほどよい硬さになる風合いなどを発信する。28日に締め切るが、14日時点で既に目標を超える130万円超の支援を集めている。