繊維ニュース

特集 スクールスポーツウエア(4)/スクールスポーツ事業インタビュー/ユニチカメイト/瀧本

2023年12月12日 (火曜日)

〈ユニチカメイト/社長 山中 伸明 氏/「プーマ」で新たに仕掛ける/素材開発力で違い明確に〉

――2024年の入学商戦に向けての商況は。

 ライセンスブランド「プーマ」で20校ほどの採用校がありました。目標数に比べると少ないですが、生徒数が多い学校の案件が多く、今期(24年3月期)は増収基調で推移しています。累計では200校を超えています。

 14年にライセンス契約を結び、15年度から小・中・高校を対象にプーマブランドのスクールスポーツウエアの販売をしてきましたが、新型コロナウイルス禍もあり大きなリニューアルができていません。25年の入学商戦に向けては展示会か内見会を開き、新商品の発表を検討しています。

 プーマでは体育館といったインドア用のシューズの開発も進めています。サイズごとの備蓄といったさまざまなリスクが考えられますが、現在サンプルを作っており、25年の入学商戦には販売できればと考えています。

――ユニチカグループの素材開発力を活用し、他の学生服メーカーや学販スポーツの専業メーカーにはできない商品開発ができる点も強みです。

 自社ブランド「ユームーブ」では、スポーツウエアで採用が広がる吸放湿素材「ハイグラ」を使ったTシャツを展開し好評です。プーマではトップレンジでストレッチ素材「ゼットテン」を使い、動きやすさ、着心地の良さを高めています。独自素材を使い、他社商品との違いを明確に出していきます。

 環境配慮型素材の提案にも力を入れていきます。学生服業界では思っていたよりも反応が小さいと感じますが、今のうちから提案を強めていきます。

――25年の入学商戦に向けては。

 プーマでは引き続き30校の採用を目標にしています。現状では生産の8割が国内で、安定供給に向け、協力工場のスペース確保など臨機応変に対応していきます。

 自動採寸システムの普及にも努めています。生徒自身が採寸し、写真を撮ってシステムに送ると、推奨サイズが返ってくるという仕組みとなります。これをバージョンアップし、クレジットカードで支払いができるようにするなど、利便性をもっと高めていきます。

〈瀧本/常務 谷本 勝治 氏/25年入学商戦から「ヒュンメル」/スポーツ市場の開拓加速〉

――2025年の入学商戦に向けてデンマークのスポーツブランド「ヒュンメル」を投入します。

 10月から11月にかけて福岡、浜松、東京、大阪で展示会を開き、ヒュンメルの新商品を紹介しました。反響が良く、既に10数校からサンプル依頼を受けています。25年入学商戦に中高合わせて30校の採用を目標としていますが、それを上回るペースでの採用も見込めます。

 「ベーシックシンプルライン」「ハイブリッド」「3Dカッティング」「アシンメトリー」の4ラインを打ち出しました。袖にはヒュンメルの象徴ともいえるシェブロンラインのプリントを配し、他のスポーツブランドとの違いも出しました。

 また、デザインだけでなく機能性にも違いを出し、ジャケット、Tシャツ、ボトムスの商品全てに、アンモニア臭で活性炭の10倍の即効性、50倍の持続性があるとされる消臭繊維「MOFF」(モフ)のテープを採用しました。

――新ブランド投入の狙いは。

 これまでスポーツでは自社ブランド「タイガースポーツ」と、イタリアのライセンスブランド「ロット」を展開してきました。ロットは10年に契約し、累計で60校弱が採用しています。ただ、両ブランドとも基本的に別注でした。学校別に細かい対応が多く、新規採用校の獲得が難しい状況にありました。

 そこでヒュンメルでは定番商品のみに絞り、スクールスポーツ市場拡大へのきっかけを作りたいと考えています。既に新たな商品開発も進めており、商品ラインアップの充実を図りながら、採用校の獲得につなげていきます。

――展示会では「SWS」(スポーツ・ウエア・スーツ)の試作品も披露しました。

 ストレッチ性の高い織物を使い、着心地の良さを追求するとともに、スマートなルックスを持つウエアに仕上げました。体育着だけではなく校内着、校外授業時などの着用シーンを想定しており、見ていただいた先生方の反応は良かったです。

――スクールスポーツでの今期(24年6月期)の見通しは。

 前期比横ばいを見込んでいます。来期以降はヒュンメルで拡大を図り、26年6月期には売上高10億円を目標にしています。