特集 スクールスポーツウエア(3)/スクールスポーツ事業インタビュー/トンボ/明石スクールユニフォームカンパニー
2023年12月12日 (火曜日)
〈トンボ/スポーツ商品本部スポーツ商品部 副部長 高橋 聡一 氏/早期対応で安定生産/「アンダーアーマー」貢献〉
――スクールスポーツ事業における、来入学商戦に向けた進捗(しんちょく)はいかがですか。
新規校からの受注獲得は順調に推移しています。中でも、今春の入学商戦を皮切りに展開を始めた「アンダーアーマー」ブランドでは大型物件の獲得にもつながるなど、貢献しています。
――体育着の各ブランドの販売状況について。
アンダーアーマーは販売が好調です。同じくライセンスブランドの「ヨネックス」もコンスタントに採用が決まっており、人気は根強いです。
ハウスブランドの「ビクトリー」は、今年も昇華転写プリントの採用が増えています。また、ピステスタイルとトレーニングウエアを組み合わせた独自開発ウオームアップウエアの「ピストレ」では、軽量性やコンパクトに畳むことができる収納性への評価が高いです。
――体育着へのニーズをどのようにみていますか。
トレーニングウエアでは、防風性や耐久性、Tシャツでは防透性、通気性、吸汗速乾性が求められています。機能性もそうですが、SDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中、今後は環境配慮型製品へのニーズが高まっていくと考えられます。
――来春に向けた生産状況についてはいかがですか。
一部、染工場の混乱によって生地の確保が難しい物件もありましたが、早期手配などの対策が奏功し、全体的にスムーズに生産ができています。
縫製においては、国内縫製工場の稼働が通常に戻り、生産数も増加傾向にあります。また、新規もスケジュール通りデザイン決定ができたことで、例年以上に早い対応につながっています。
――スクールスポーツ事業での設備投資の計画は。
昇華転写プリントは、デザイン面で差別化ができるということから評価が高いです。そのため、さらなる販売拡大に向けて設備を増強していく計画を立てています。
――価格改定の予定は。
円安のほか、原燃料価格などあらゆるコストが上昇しています。改定を検討する必要性は感じています。
〈明石スクールユニフォームカンパニー/取締役営業企画部門管掌 兼スクール営業部統括部長 榊原 隆 氏/来春向けの受注順調/新ブランド投入〉
――スクールスポーツ事業の来入学商戦に向けた進捗(しんちょく)について。
安定生産につなげるため、新規注文を例年よりも早い9月に締め切るなど、厳しい条件が重なりましたが、例年並みの新規校からの受注を獲得できています。
――ライセンスブランドの「デサント」、自社ブランドの「アスリッシュ」の採用状況は。
デサントでは、採用する生地の「デサントハイブリッド」が、ストレッチ性や軽量感、耐久性など高機能性が評価され好調です。アスリッシュも、速乾性や防透性、保温性の高いダンボールニットなど、素材の機能性が評価され、例年よりも多くの採用を得ました。
――10月、大阪展で新ブランド「FEEL/D.」(フィール/ディー)を発表しました。
新ブランドを立ち上げるのは5年ぶりとなります。スクールスポーツ市場を見ると、新しいブランド名よりも中身の時代に入ってきていると感じます。フィール/ディーでは、機能とデザインを高めた商品をそろえています。
立体的な裁断を取り入れることで動きやすさにこだわりました。生地には素材メーカーと共同開発した「アルティミクス」を採用しています。首周りに消臭機能を付与した生地、通気性が求められるところにはメッシュ生地というように、体の部位に合わせて生地を使い分けています。デザインはシンプルで格好良く仕上げています。
フィール/ディーは当社のこれからの体育着の試金石になるでしょう。再来年度入学からの導入で提案を進めていますが、既に数校で採用が決まりました。まずは採用数50校を目標に、ブランドを育てていければと考えています。
――来入学商戦に向けた生産状況は。
新規注文を前倒ししたことに加え、幾らか海外生産へシフトしたことが寄与し、順調に生産ができています。ただ、今後も警戒しながら進捗確認を進めていきます。
――原燃料価格などさまざまなコストが上昇しています。価格改定についてはいかがですか。
来春向けに関しては一部で改定を進めました。再来春向けから本格的にお願いしていくことになります。