繊維ニュース

関心高まるLCA 算定サービスやソフトウエア充実

2023年12月08日 (金曜日)

 ライフサイクルアセスメント(LCA)に目を向ける企業が増えそうだ。カーボンニュートラルへの取り組みが加速する中、二酸化炭素(CO2)排出量を可視化する手法として注目され、算定サービスや実施支援ソフトウエアの提供も充実を見せる。

自動車メーカーなどが取り入れており、繊維産業にも浸透する可能性がある。

 LCAは、製品やサービスにおける資源採掘から製造、流通、使用、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体の潜在的な環境影響を定量的に評価する手法。環境負荷の見える化や環境配慮設計の促進、マーケティング施策などで活用できる。国際標準化機構(ISO)14040シリーズで標準化されている。

 今日8日まで東京ビッグサイトで開催中の「エコプロ2023」でもLCAを訴求するブースが目を引く。検査機関もその一つで、カケンテストセンターやボーケン品質評価機構がLCA算定サービスを紹介。カケンテストセンターは実例をパネルで展示している。

 そのほかにもさまざまな角度からアプローチが図られている。

 三井物産は、製品単位のLCA・カーボンフットプリント(CFP)算定ができるプラットフォーム「LCA Plus」を提案。同プラットフォームでは、算定ガイドラインや品質チェックリスト、検証サービスなどを用意する。自動車関連や食品関連などで入会が増加し、繊維企業の問い合わせも増えている。

 LCAに関する多くの提案を行っているサステナブル経営推進機構(SuMPO)は、LCAエキスパート養成塾を開講している。LCAやCFPに対して専門性を持つ人材を育成する講座で、来年1月に9期目がスタートする予定。修了生は7期までで約90人を数える。

 出展者の1社は「今年に入ってからLCA算定に取り組む企業が増えてきた。経産省によるカーボンフットプリントガイドラインの作成などが背中を押しているようだ」と語る。検査機関は「繊維関連でも関心が高まりつつある」とした上で、「繊維企業はもちろん、依頼があれば他産業・他業界の算定にも積極的に応じる」と話す。