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素材メーカー 夏に涼しく透けにくい

2023年12月07日 (木曜日)

 防透けでありながら、高い通気性を確保する素材が進化しつつある。酷暑で夏物の着用期間が長くなる中、ユニフォーム用途ではポロシャツなどの需要が拡大、防透け×高通気で新たな販路開拓につなげる。

 シキボウとユニチカトレーディング(UTC)は、両社の技術を組み合わせた素材開発を強化。シキボウの校倉(あぜくら)構造組織「すだれ編み」とUTCの高遮熱クーリング素材「こかげマックス」を組み合わたものはUVカットや透け防止機能に加え、近赤外線を効率的に遮蔽(しゃへい)することで、涼しさを追求した。他にもシキボウの校倉構造織物「アゼック」にUTCの2層構造糸「パルパー」を組み合わせ、綿の風合いによる快適な着心地と通気性を向上させるなど夏に最適な素材を豊富にそろえる。

 東洋紡せんいの「サマークール涼夏」は、高通気で170cc以上の風を通しながらも、編み組織の工夫とともに糸も撚りを掛け、細めに仕上げるなど、さまざまな工夫を取り入れ防透け性を高めた。UPF(紫外線保護指数)50+の日焼け防止機能もある。

 東レの「スプリンジー」は、微細な溝を持つ異形断面と丸断面の短繊維をランダムに配列させてできた、数マイクロ㍍から10数マイクロ㍍の隙間で発現する毛細管現象により、優れた吸水速乾性を実現。セラミックを練り込んだ特殊なポリマーを使用することで、防透け性、紫外線ガード、クーリング機能も併せ持つ。

 ユニフォーム用途ではワーキングやサービス、スクールなどでポロシャツの需要が拡大している。特にスクールではLGBTQ(性的少数者)に配慮した制服モデルチェンジ拡大の流れで、夏物で男女ともあまりデザインの変化がないポロシャツの採用が増えており、防透けで高通気の機能を持った素材に対するニーズが高まっている。

 菅公学生服では2020年にグッドデザイン賞を受賞した防透性に優れたスクールウエア「ミエンヌ」が売れ筋。酸化チタンを練り込んだ糸や編み組織の工夫で可視光線を大幅にカットし、優れた防透性、紫外線遮蔽率を実現し、従来の素材に比べ通気性も高いと言う。ミエンヌでは26年入学商戦から制服・体操服回収によって再生したポリエステル原料「ブリングマテリアル」を採用し、“服から服”へ循環させる取り組みを本格化する。