新たな日常への 挑 戦 北陸ヤーンフェア 2023レビュー(3)

2023年12月06日 (水曜日)

ヘンプや竹に注目集まる

 三菱ガス化学は、独自のナイロン樹脂「エモクシー」とバイオベースのポリアミド「レクスター」を紹介した。エモクシーはハリコシ感など繊維に向く特徴があり、繊維を優先ターゲットの一つとして開発を進めてきた。2020年の北陸ヤーンフェアで初披露したが、現在は糸や生地にするための取り組み先も広がり、市場での展開を見据えて用途を絞り込み開発に入っている。

 低吸水性や耐薬品性などの特徴もあり、繊維では特に資材用途で可能性があるとみる。既に水産資材での採用が始まっており、今回展でもモノフィラメントなどが注目を集めた。ブースでは織物、不織布などのサンプルを展示し、寝具用を見据えたダブルラッセルなども紹介した。

 トスコは5回目の出展で、継続して北陸に麻の魅力を訴求してきた。今回展では特にヘンプ(大麻)や和紙糸への注目が高く、初披露したヘンプ30%・綿70%の混紡糸も好評を得た。綿と混紡することで糸の柔らかさや編みやすさが加わり、織物だけでなくニット用でも注目された。

 機能性へのニーズも高く、ブースでは銅イオンで抗菌性や消臭などの機能を付与した紙糸「Cu―TOPアオ」(シーユートップアオ)も好評を得た。既に医療施設で使われる繊維製品などで採用されており、今後用途を広げていく。

 泉工業(京都府城陽市)は機能性を付与したラメ糸や極細糸など高付加価値なラメ糸を提案した。ブースは北陸産地の製織企業を中心に初日から多くの来場者が訪れた。SEKマークに対応する機能性ラメ糸「ベラホン」などが注目を集めた。ベラホンは資材系の来場者からも関心が寄せられた。接触冷感ラメ糸への問い合わせも多かったと言う。

 インフォバンク(福井市)は竹繊維を訴求した。ブースでは竹の原綿を置き、竹×オーガニック綿などの紡績糸を紹介した。レーヨンへの練り込みではなく天然の竹を開繊して紡績糸にする希少性が注目を集め、麻の代替として検討する声もあった。合繊との複合では竹糸をポリエステルで巻いたカバーリング糸も紹介した。

 意匠糸など特殊紡績糸を製造するミマス(三重県玉城町)は、麻混紡糸やヘンプ使いなどの提案に力を入れた。リネンやラミーの価格が上がる中、麻の混紡糸には商機があるとみる。ヘンプ使いでは、ダイワボウレーヨンの海洋生分解性レーヨン「エコロナ」との混紡糸や帝人フロンティアの再生ポリエステル「エコペット」との混紡糸も訴求した。